出版業界関連の気になるニュースまとめ #94(2013年11月25日~2013年12月1日)

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Nexus 7のKinoppy

出版業界関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は、文教堂が出版10社と組んで開始した、「雑誌を買えば電子版無料」の新サービスが話題になっていました。

楽天Kobo系API登場、楽天GORA系APIアップデートお知らせ – 楽天ウェブサービスブログ ※2013年11月25日

楽天Kobo電子書籍ストア powered by 楽天ブックス」が開始されるとほぼ同時に、楽天Kobo系APIの提供も始まりました。アフィリエイトにも対応しています。ニュースメディアには取り上げられていませんが、プログラミングができる人にはなにげに大きいトピックスかも。

1000ページ級の巨人漫画誌アフタヌーンがスマホ&PCで毎月読める「アフタヌーン電子版」配信開始! – アフタヌーン公式サイト – モアイ ※2013年11月25日

ボクが唯一買い続けてきた漫画誌が、ついに電子化です。「待ってました!」と喝采を叫びました。1冊1.2kgくらいあるので、持って読むのも保管するのも捨てるのも大変だったんですよね。しかも紙の発売日と同時に配信。講談社は、紙が完成してから電子版を作るのではなく、紙と電子を同時に制作できる体制を整えたということになるでしょう。その辺りが後述する小学館との大きな違い。

文教堂、雑誌買えば電子版無料 出版10社と組む :日本経済新聞(※会員限定) ※2013年11月26日

以前書いた「AmazonのKindle MatchBookは書店には悪夢を、出版社には福音をもたらすか?」という記事の中で、「これってAmazon以外でも可能なのでは?」という指摘をさせて頂きましたが、Amazonが日本でKindle MatchBookを展開するより先に動いたところが出てきましたね。1月にハースト婦人画報社と実験した時には、対象雑誌の売上が2~5割伸びたそうです。これはどんどん進めるべき。

しかし、文教堂ということはhonto(トゥ・ディファクト、大日本印刷とdocomoが出資、文教堂とはhontoポイントで提携)の仕組みを使うのかな? と思いきや、「空飛ぶ本棚(Android版iOS版)」という完全に別のアプリ(iOS版を開くと “Powered by ActiBook” という表示が見えました)で、利用には新規で会員登録が必要となります。必須項目は氏名・性別・住所(都道府県まで)・生年月・メールアドレス。当然のように、ソーシャルログインにも非対応。なぜ連携せず別系統にしたのか……これではAmazonに対抗するのは厳しい。

Amazon、次世代Kindle Paperwhiteを開発中―300ppiの高解像度、フォントも改良されて来年第2四半期に登場か | TechCrunch Japan ※2013年11月25日

Kindle Paperwhiteより高解像度なKobo Aura HD(日本での発売予定はなし)があるので、次世代モデルがさらに高解像度化するのは当然の進化でしょう。注目すべきは、「来年第2四半期に登場か」という部分。これまでは第3四半期に新モデルを投入してきましたので、これが本当なら3ヶ月ほど前倒しで発売されることになります。米ソニーのReader新モデルがこれまでだいたい8~9月に出ていましたので、それより先に発売されることに?

IFLA、Googleブックス訴訟に関する米国連邦地方裁判所の決定を支持する声明を発表 | カレントアウェアネス・ポータル ※2013年11月26日

IFLA = International Federation of Library Associations = 国際図書館連盟です。「公益性が高い」という判断は、非常に妥当だと思います。Authors Guildは控訴するつもりのようですが。

なぜ楽天koboは電子書籍を50%引きで販売するのか? 日経トレンディネット ※2013年11月26日

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)という側面と、Amazon対抗策(楽天にとっては弱小部門なのでダメージは少ないが、対抗措置をとらねばならないAmazonの利益額減少幅は大きい)という話。過当競争、不当廉売にならなきゃいいんですけどね。生産者側(家電量販店ならメーカー、電子書店なら著者・出版社)にしわ寄せがいきそうで……。

電子出版、今年の顔は? JEPAの「電子出版アワード 2013」投票開始 – ITmedia eBook USER ※2013年11月26日

一般投票もできます。ボクは、個人でノミネートされている人に投票しました。

Kobo、7インチタブレット「Kobo Arc 7HD」を国内販売へ – ITmedia eBook USER ※2013年11月26日

なぜこれまで国内販売をしなかったのか疑問だったのですが、このタイミングから考えるに、恐らく楽天ブックスとのシステム統合ができないと投入したくてもできなかった、というところなのでしょう。しかし、「10インチモデルのKobo Arc 10HD、およびKobo Aura HDの国内発売は予定していない」という記述にはちょっとがっかり。投入するとしたら、次世代モデルからかな?

楽天Kobo、PC版の電子書籍ビューアー提供へ、出版社から要望も多く -INTERNET Watch ※2013年11月27日

当初から、「Kobo Desktop」アプリの設定ファイルを書き換えちゃえば、ビューワとして使えるという情報が流れていました(自分で試したことはないです)が、公式に投入することになったそうです。日本語縦書き対応ができたのかな? Kindle for PCの呼び水になりそうな気がします。

【速報】KindlePaperWhite<ニューモデル発売記念>¥1980クーポンキャンペーンがご好評に付き12月31日まで延長! | きんどるどうでしょう ※2013年11月27日

ボーナスシーズン・クリスマス商戦までキャンペーン期間を延長しました。迷っている方、いまのうちです。

Kindle Paperwhite(ニューモデル)

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米書店B&N決算、電子書籍事業32%の減収に :日本経済新聞 ※2013年11月27日

Appleのように端末を売って稼ぐモデルではなく、コンテンツ販売で収益化を図るモデルですから、デバイス売上の対前期比41.3%減より、デジタルコンテンツ売上の対前期比21.2%減の方がやばい。マジやばい。出資しているMicrosoftは、NOOKをどうするつもりなのか。

【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】Amazon「Kindle Fire HDX 8.9」 ~2,560×1,600ドット、8.9型でわずか374gの超軽量タブレット – PC Watch ※2013年11月28日

従来モデルはさんざん「重い」と言われてましたので、意地になって軽量化を図ってきたというところでしょうか。「Kindle Fire HDX 7」が303gですから、ほんのちょっと重いだけ。ネックは価格でしょうか。まあ、円安だから仕方がないですが、2012年型と価格を比べてしまうと、ちょっと辛いものがありますね。左が2012年モデル、右が2013年モデルです。

小学館の電子雑誌戦略――Adobe DPS採用のワケ – ITmedia eBook USER ※2013年11月28日

「紙からデジタルへの移行ではない」という社内の共通認識はいいのですが、「現状、小学館の電子配信のワークフローは、紙の校了後に始まります」というのが残念なところ。先日、JEPAの「小学館のデジタル戦略」というセミナーを聞いたのですが、書籍部門も同じ状態のようです。大手であるほどワークフローを変えるのは難しいとはいうものの、講談社の取り組みと対比すると……。

[アップデート] 連載機能、みんなの購入額、新決済方法等いろいろ実装しました。 | 言い値書店 店長ブログ ※2013年11月27日

PWYW(Pay-What-You-Want)方式の「言い値書店」がアップデートしました。連載機能(月額課金)実装、「みんなの購入額TOP5」を表示、新決済方法「WebPay」を追加、「更新お知らせ通知」機能実装、Google+アカウントでの会員登録/ログインに対応、カテゴリを “電子書籍サーチ” と統一、など。個人的にはGoogle+ログイン対応が嬉しい。

【第9回】電子書籍の本場アメリカの実際をNYで聞いてみた | ダ・ヴィンチ電子ナビ ※2013年11月29日

まつもとあつしさんによる、大原ケイさんへのインタビュー記事。アメリカでもまだ「本の売り上げ全体では電子書籍は30%も行っていない」のが実情なんですよね。

今後について、「DRM(デジタル著作権管理)を外していこうという動きが拡がる」という予想には、半分同意。音楽は、個人が簡単にCDからリッピングできた(つまり基本がDRMフリーだった)し、電子機器を使って楽しむのが当たり前だったわけですが、「紙の本の電子化」というのはまだ歴史も浅く、慣れ親しんでいる人のほうが少数派です。出版社も基本的に「紙の本の電子化」路線の延長上で考えているので、一部の例外を除きすぐにDRMフリー化が起こるとはないと思います。

ただ、電子の本を、ウェブ(基本がフリー)の延長上で考えると、全く違う話になる……この辺りの話を書いていると長くなるので、別の機会に。

出版状況クロニクル67(2013年11月1日~11月30日) – 出版・読書メモランダム ※2013年11月30日

毎月楽しみにしている、小田光雄さんの出版状況クロニクル。『昭和の出版が歩んだ道』について、こんな記述が。

個人の立場で出版業界について発言することも、出版社や書店のことに言及することも、まったく自由である。だがこの一冊に示された出版業界における現実をはっきり認識した上でのことにすべきだろう。そこにはあまたの破産と悲劇があり、多くの人たちが行方不明となり、消えていったのである

昭和の出版が歩んだ道―激動の昭和へTime TRaVEL (本の未来を考える=出版メディアパル)

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能勢 仁 八木 壮一

出版メディアパル

要するに「読まずに語るな」ということのようですが、Amazonでは品切れ、再入荷予定なし。電子版がないから、古本は高騰しちゃってます。hontoと紀伊國屋書店にはまだ在庫があるようなので、お早めに。

昭和の出版が歩んだ道 激動の昭和へTime TRaVEL (本の未来を考える=出版メディアパル)

本の未来を考える=出版メディアパル 昭和の出版が歩んだ道―激動の昭和へTime TRaVEL

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