毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Reader Store欧州からも撤退」「スピリッツの例のマンガ」などが話題になっていました。
電子出版権は本当に海賊版対策になるのか? « マガジン航[kɔː] ※2014年5月6日
大原ケイさんによる、欧米の海賊版対策の現状について。
NDL所蔵古書をプリントオンデマンドで « マガジン航[kɔː] ※2014年5月8日
変電社・持田さんによる、インプレスR&Dの中の人(井芹さん・福浦さん)インタビュー。いわゆる「文化庁長官裁定」コンテンツは、やはり対象になっていないそうです。
実はずいぶん以前よりAmazon社から、NDLのデータは非常に貴重なコンテンツなので、POD(Amazonプリント・オン・デマンド)として出してみたいとの希望がありました。
Amazonからの打診だったのですね。だとすると、三省堂はどこから……?
Unglue.itは、著者が一定金額を得たら電子書籍を無料にするサービス | TechCrunch Japan ※2014年5月7日
上限に達したら自動的に無料になるというのが面白い。実は、「note」を見ていると、「一定期間で無料にします」という形で公開している方もいれば、逆に「一定以上『スキ』が付いたら有料にします」という形で公開している方もいるので、Unglue.itとは逆に「一定数以上無料でダウンロード(または閲覧)されたら自動で有料に切り替わる」とか「自動でだんだん値段が上がっていく」みたいなシステムが出てくるかも。
電子雑誌とタブレットがセットになったレンタルサービス「YAMADA AirMagazine」がスタート – ITmedia eBook USER ※2014年5月7日
これは個人向けより、美容室や食堂など、来客向けに雑誌を定期購読している商店向け需要が結構大きいかも。シャープの法人向け定期購読サービスとぶつかるかな?
英国など4カ国でReader Storeがクローズ――Koboが受け皿に – ITmedia eBook USER ※2014年5月8日
北米撤退時と同様に、日本のReader Storeには「今後ご提供予定のサービスと今晩開始のキャンペーン予告」が出ており、「日本は続けるよ!」というメッセージを発しています。しかし、シャープと同じく、ソニー本体がどうなるかの瀬戸際なので……。
出版4団体、書籍などに軽減税率適用求める声明 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年5月9日
日本書籍出版協会のPDFはこちら。これは健全な主張だと思います。消費者の負担軽減により、文化振興を図りましょう! という話なのですから。ただ、「海外事業者に公平な課税適用を求める緊急フォーラム」より前にやるべきだった。
もう出版社は「終わった」のか?出版不況の根本理由から、クールジャパン戦略を探る(1/2) | ビジネスジャーナル ※2014年5月9日
なんかグダグダな対談だし、cyzo(ビジネスジャーナル)なのでスルーしよと思ったのですが、1つだけどうしても気になる発言が。
福田 (略)今、電子書籍のコミックで弊社が業界ナンバーワンである理由を考えると、
【緩募】ソニー・デジタルエンタテインメントが、電子書籍のコミックで業界ナンバーワンのソースってどこかにありますか? ボクには見つけられない……。
電子書籍を月毎の定額で提供するOyster、提供書籍数が50万超となり、Android版も提供開始予定 | TechCrunch Japan ※2014年5月9日
50万点! 日本の読み放題系サービスと、2桁違う……。「最近出版された、人気のある書籍」はパッケージで買えばいいので、読み放題系サービスは少し昔の出版物をターゲットにすべきじゃないかなあ。絶版本はJコミがあるので、それよりは新しめで。
DeNA「マンガボックス」、連載作品が初単行本化 – ITmedia ニュース ※2014年5月9日
3月26日のJEPAセミナーで、マンガボックスは認知メディアであり、単行本の販売で売上をあげていくモデルだと明言されていましたが、動きが早い! さすがだなあ……結構あちこちで、平積みされてるみたいです。
【マンガボックス単行本 本日発売!】
マンガボックスコーナーができていました(*´艸`*)
#マンガボックス陳列 pic.twitter.com/rdKYd09eYj
— 【公式】マンガボックス (@Manga_Box) 2014, 5月 9
さて、大きな話題になっているスピリッツの例のマンガの件ですが、「炎上商法」だと思ったのでこれまでここでは意図的に取り上げてませんでした。「科学的におかしい」と批判するのは大いに結構だと思います。ただ……
美味しんぼの福島についての問題についても、週明けに政府内の対応を把握し、疑問をもたれた皆さんにご報告します。
— 片山さつき (@katayama_s) 2014, 5月 10
政府は出てきちゃダメ! 国家権力が介入するのは絶対にダメ!。日本国憲法第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」に反するでしょ。「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」(ヴォルテール・Wikipediaより)
なんか先日から騒いでる例の漫画の件、描いてることがホントだとすると個人的には「バカだなこの人」とは思うけど、だからって「抗議しまくって出版停止だの打ち切りだのに持っていく」のなんて最低の対応だと思うんだが。発信側を最も反省させない方法だろ、それって
— ふじいろクローバーZ (@aipo_fujii) 2014, 5月 9
>RT)そう、「出版停止だの打ち切りだのに持っていく」方法では表現・出版の自由の是非にまで踏み込んでしまい、五分五分の闘いに(見えるように)なっちゃう。一方、内容への科学的で冷静な批判はとても有効で、「鼻血」表現は無効化の一途をたどっている。ネットの力はすごいと思わされるのは後者
— 須賀原洋行地酒日記クッキングダンナ発売中 (@tebasakitoriri) 2014, 5月 10
新大久保のヘイトスピーチのときも、似たことがあったわけです。高名な憲法の先生、間違いなく自民党も安倍さんも大嫌いな、護憲派筆頭みたいな人が、「規制せよ」と言った。私は考えが違ったんだけど、いやはやこれは困ったもんだ、そう思った。こうやって表現の自由が細って行くんだな、と。
— 玉井克哉(Katsuya TAMAI) (@tamai1961) 2014, 5月 10
その緊張感が不可欠なんですよ。表現の自由というのは、天から降ってきたマナではないので、皆で努力してないと、なくなってしまう。 @kame_ishi …政府の介入を防ぐためにも、行き過ぎた表現者の不勉強を社会全体で非難・批判すべきかと思います。
— 玉井克哉(Katsuya TAMAI) (@tamai1961) 2014, 5月 10
このことを契機に、役所や政治家が個別言論へ介入する事態を招くのが一番困る訳ですよ。小学館、あるいはスピリッツ編集部には、言論全体の萎縮を招きかねないやらかしをしたことへの自覚はあるのだろうか。
— ケンコマ(小松田健一) (@kenkoma) 2014, 5月 10
鈴木みそさんからは、こういう指摘も。
ビッグコミックの「そばもん」はとても丁寧に食と放射能を扱っているので、これも小学館の仕事として読んでみて欲しい。 pic.twitter.com/1SQJ4VyoPM
— 鈴木みそ (@MisoSuzuki) 2014, 5月 10
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小学館 (2013-03-05)