毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「KADOKAWA・DWANGO誕生」「不健全図書新基準で初指定」「オーバードライブ今夏日本上陸」などが話題になっていました。大型ニュースの多い週でした。
黒船アマゾン、書店連合で迎撃 大手も参入の“無料”電子書籍、続々商品化 (1/3) – ITmedia eBook USER ※2014年5月12日
文教堂の「空飛ぶ本棚」が結構評判よくて、他の書店でも展開され始めているというニュース。三省堂&BookLiveの「デジ本プラス」は他店展開は考えていないという話でしたが、文教堂は積極展開しているようです。スケールメリット出るから、その方がいいですよね。しかし、丸善ジュンク堂やhontoはどうするんだろう?
コミックナタリー – 長尾謙一郎「クリームソーダ シティ」未完のまま連載終了 ※2014年5月12日
『美味しんぼ』が炎上している陰で、ひっそりと。
前述の“権力の勧告”に関しまして、詳細は私からは申し上げられません。担当者も最後の最後まで作品の為に抵抗してくれたのですが、結果としてこのような事になってしまいました。
「権力の勧告」って何だろう……。
時事ドットコム:不健全図書、新基準で指定=KADOKAWAの漫画本-東京都 ※2014年5月12日
この第一報からその後の経緯を「青少年健全育成条例で『妹ぱらだいす!2』が漫画・アニメの新基準による初めての不健全図書指定」にまとめてあります。とりあえず版元による「自主回収」で、電子書店からも姿を消しています。
出版3社がAmazonへの出荷停止を発表 -INTERNET Watch ※2014年5月12日
本来であればAmazonと直接契約している取次が、苦情を言っても動いてくれないから苦渋の選択をした、ということのようです。そもそも、再販価格維持制度は街の書店を守っているのか? という点にどうしても意識のズレを感じますが、行動に移したことは素直に評価。
ちなみにAmazonが登場する2000年より前から、街の書店は激減しています(※参考:「書店数とその坪数推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)」)。書店数のピークは1988年なので、ロードサイド型の書店や、コンビニの登場の方が先なのです。
アダルト本やオカルト本も 復興予算の電子書籍化事業:朝日新聞デジタル ※2014年5月13日
緊デジ問題報道に、朝日新聞も参入。
角川・ドワンゴ経営統合 アニメなど「ニコ動」で海外へ :日本経済新聞 ※2014年5月14日
昨年秋の、KADOKAWA合併に続く大激震。いろいろ関連記事や論考記事が出ていますので、面白かったのをいくつかピックアップしておきます。
- 「若き経営者をようやく手にした」ドワンゴ・川上氏への期待を語る角川氏 -INTERNET Watch
- 本の虫: KADOKAWA・DWANGOについて
- 大塚英志緊急寄稿「企業に管理される快適なポストモダンのためのエッセイ」 | 最前線 – フィクション・コミック・Webエンターテイメント
- 「日の丸プラットフォーム」の本質を見誤るな « マガジン航[kɔː]
- KADOKAWAと経営統合 ドワンゴの社員から巻き起こった拍手と川上会長の野望 | 東京IT新聞
権利不明の本・映像使いやすく 国連がデータベース化 :日本経済新聞 ※2014年5月14日
孤児作品(オーファンワークス)問題で、まさかの国連登場です。日経報道ですが、WIPOのガリ事務局長の談話もあるので、どうやら間違いないみたい。
メディアドゥ、米OverDriveと戦略的業務提携――電子書籍を「買う」「借りる」推進 – ITmedia eBook USER ※2014年5月13日
ついに。「米電子図書館サービス最大手のOverDriveがメディアドゥとの資本提携で今夏日本進出へ」にまとめてあります。
ドコモ、電子雑誌の定額読み放題サービス「dマガジン」を6月スタート – ITmedia eBook USER ※2014年5月14日
電子雑誌読み放題サービスに通信大手参入。月額400円。しかもマルチプラットフォームというのが良い。ラインナップが結構充実しているので、普及しそうな予感。先行していたビューンが、対抗措置として30日間無料キャンペーンをやっています。
「楽天いどうとしょかん」が岐阜での運行を開始 | カレントアウェアネス・ポータル ※2014年5月15日
地道な活動。
Amazon、イタリアで新しい書店のありかたを探る – インターネットコム ※2014年5月15日
「Amazon Source」の進化系。店舗を訪れた客が、紙か電子かを選べるそうです。しかし、そもそもAmazonはリアル小売店舗を敵に回しすぎているので、提携するのはなかなか難しい気が。
ACCESS、PUBLUSへ位置連動型コンテンツ配信機能を追加――特定の場所に限定したコンテンツ配布を可能に – ITmedia eBook USER ※2014年5月15日
iBeacon や GPSを使って位置情報を特定し、例えば来店時のみ入手可能なコンテンツ配信をするという仕掛けを可能にしています。
単行本化されてない漫画をオンデマンド印刷 「Jコミで印刷できるってよHD」開始 – ITmedia ニュース ※2014年5月16日
Jコミの新サービス。プリント・オン・デマンドで、単行本未収録作品を販売するサービスです。システム開発が進んで、かなり自動化できているようです。
ちなみに個別リアルタイム電子透かし刻印だけでなく、、印刷所への発注&データ発送も自動化されており、郵送も印刷所から直出しなので、「Jコミで印刷できるってよHD」では、Jコミスタッフは何もやる必要が無いという(笑)。じゃあ手数料も0%でいいや、みたいなw
— 赤松健 (@KenAkamatsu) 2014, 5月 16
相変わらず商売っけがない。
【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】8型Windows 8.1タブレットで電子書籍を試す ~徐々に広がりつつある電子書籍のWindowsタブレット対応 – PC Watch ※2014年5月17日
山口さんもMicrosoftからもうすぐ電子書籍ビューワが出るという噂は知ってたそうですが、まだ噂レベルで正否の判断ができなかったため、あえて触れなかったそうです。ボクはその噂があったので Miix 2 8 買ったのですが、それ以来2ヶ月音沙汰なし……ヤラレタカナコリャ。
ちなみにエッジスワイプは、慣れの問題というより「そこにメニューがある」ことを視覚的に示していないのがダメだと思います。だから、そのつもりもないのに勝手にメニューが出たり、画面が切り替えられちゃったりする。ほんと使いづらい。
竹書房:業界初!電子配信先行の月刊マンガ誌登場 狙いは? – MANTANWEB(まんたんウェブ) ※2014年5月18日
Webコミックのように電子版だけが配信されているケースはたくさんありますが、元々紙媒体のある漫画誌が、電子版を先行配信するというのは確かに例がないかも。
対価を払う人は、すべての作品を読む傾向にあるが、無料だとかえって作品を読まない傾向がある。
むしろ電子と紙の両方で展開すれば、どちらの売り上げもアップすると思っている。
こういう考え方に基づいているそうです。面白い!
電子書籍の利用率16% ― 男性35-39歳は30% :ベンチャーニュース:Venture Now(ベンチャーナウ) ※2014年5月18日
ジャストシステムのFastaskによる自主調査。男性の利用率が高いのはエロ目的かな……? そろそろキャズムを超えそう。