「出版物販売額前年比5.9%減」「LINEマンガ700万ダウンロード突破」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #127(2014年7月21日~27日)

Nexus 7のBOOK☆WALKER

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「出版物販売額前年比5.9%減」「LINEマンガ700万ダウンロード突破」などが話題になっていました。

北米コミックス市場は890億円、電子コミックスは92億円 ICv2とComichronが発表 ※2014年7月20日

一週前の記事ですが見落としていたのでピックアップ。「北米のコミック市場は日本の10分の1」なんて言われていた時期もありましたが、確実に大きくなってはいるようです。2011年の推計値が6億9000万ドルに修正され、JETROの数字(5億5200万ドル)からかなり増えてる。

Amazon Unlimitedに出版ビッグ5が参加しない理由 – TechCrunch ※2014年7月21日

一週前に大きな話題になった「Kindle Unlimited」には、大手5社がラインナップされていない事実を改めて報じています。

今やビッグ5は、Amazonが味方であるより、はるかそれ以上に敵であることに気づき始めている

そりゃ、アシェットとの攻防に代表されるように、右手で握手を求めながら左手で殴りかかってきたり蹴りが飛んできたりするわけですから、警戒するのも当たり前ではないかと。

ところで、出版ニュース2014年7月下旬号に、恐ろしいことがサラッと書いてあったのですが。

正味50%って……((((;゚Д゚))))

いや、まあ、いま現在でもKDPで独占配信しないと、Amazonに65%持っていかれる条件なんですけどネ。

個人作家向け市場調査サイト「Author Earnings」レポート第5弾、「DRM無しの作品のほうが2倍売れている」- hon.jp ※2014年7月22日

個人的にはDRM無い方がいいと思うし、DRM無い作品が2倍売れているのが本当なら嬉しいところだけど、一連の「Author Earnings」レポートがどこまで信用できるか? という疑問も。

いま改めて考える、出版社のレゾンデートル « マガジン航[kɔː] ※2014年7月23日

自分の記事ですがピックアップ。レゾンデートルは「存在意義」とか「存在理由」という意味。ボイジャー「Romancer」の記者発表会で感じたことから、出版社機能論まで話を広げています。

LINE マンガが700万ダウンロード突破――開始から15カ月 – ITmedia eBook USER ※2014年7月23日

「comico」が先月末に300万ダウンロード、「マンガボックス」が今月中旬に500万ダウンロードですが、LINEマンガは700万ダウンロードです。

comicoやマンガボックスは無料でマンガが読めるアプリなのに対し、LINEマンガは基本的にコンテンツを買わなければ読めないアプリ。前者は紙の単行本販売で間接的にリクープしようと考えているのに対し、後者は直接販売でリクープできるところが大きく異なります。

そしてそのLINEマンガにコンテンツを卸しているのが「どこが儲かっているかを調べてみた」で挙げたメディアドゥ。いまのところLINEマンガの売上に大きく依存しているのが経営リスクかも。

マンガNO.1の電子書店:マンガ10万冊突破 なぜeBookJapanだけがそれを実現できたのか – ITmedia eBook USER ※2014年7月25日

記事広告ですが、非常に良い内容なのでピックアップ(書いたのはボクじゃありません)。上記のLINEマンガが7万3000点ですから、eBookJapanには2万7000点のアドバンテージがあります。それは、著者と直接契約していたり、古い生原稿をスキャンする際にゴミや黄ばみを丁寧に取り除く処理を行っていたりといった、目に見えないところでの地道な活動が実を結んでいるという話。

米Amazon、個人作家向け電子書籍サービスKindle Digital Publishingに最適価格予想機能を追加 ※2014年7月25日

最適価格は、ジャンルやボリュームから判断するんでしょうか。ちなみに現時点で対応しているのは Amazon.com のみです。

読者は無料の電子書籍から離れていく – ITmedia eBook USER ※2014年7月25日

無料配信による販売促進効果が弱まっているという話。個人的には、無料キャンペーンに気づいてダウンロードしても、お金を出して買った本を読むのを優先してしまうので、ひたすら積むだけになってしまうのが辛いからダウンロードしなくなった、というのがあります。

好調なのは「アナ雪」だけ…出版物販売額が激減 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年7月25日

出版販売額、過去最大の減少 上半期、前年比5.9%減:朝日新聞デジタル ※2014年7月25日

【オリコン】上半期コミック売上に復調の兆し 調査開始以来最高を記録 (諫山創) ニュース-ORICON STYLE- ※2014年7月25日

読売・朝日は出版科学研究所の数字、オリコンは独自調べの数字。データが異なるからか、伝え方も全く異なるのが興味深い。出版科学研究所の数字、詳細が見たいですね。全体で前年比5.9%減というのは大変な落ち込み方なのですが、オリコンによるとコミック売上は前年比5.6%増なので、コミック以外はズタボロということに。とくに、新書(92.0%)やムック(92.4%)が酷い。

【オリコン】KADOKAWA経営統合効果鮮明に 「BOOK」「文庫」売上で2冠 ニュース-ORICON STYLE- ※2014年7月25日

やっちまった記事。冒頭の「5月には『ニコニコ動画』を運営するドワンゴと経営統合したKADOKAWAが」が事実誤認。KADOKAWAがドワンゴと経営統合を発表したのは5月ですが、統合は10月予定です。

ちなみに子会社9社を統合したのは昨年10月1日なので、従来はバラバラで集計されていた数字が合算されたから出版社別シェアで2位になったということでしょう。まあ、ある意味で、経営統合効果なのは間違いありません。ただ、経営統合がプラスになったかどうかは、子会社9社を統合する前の数字と比較しなければ分からないわけで。昨年同時期の記事には10位までしか載っていないから、分からない……。

アップル、電子書籍推奨エンジンのBookLampを買収か – CNET Japan ※2014年7月28日

iBooks Store へのテコ入れ策でしょうか。自然言語分析に基づく電子書籍のレコメンデーションサービス。日本語の解析はできるのかな?

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