「TPP著作権問題に憂慮の声多数」「美術出版社民事再生申し立て」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #158(2015年3月2日~8日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「TPP著作権問題に憂慮の声多数」「美術出版社民事再生申し立て」などが話題になっていました。

コミックマーケット準備会、TPP協定交渉問題についてあらためてコメント 「大変憂慮しております」 – ねとらぼ ※2015年3月2日

2月にNHKから連発で「著作権保護は原則70年で調整へ TPP(魚拓)」「TPP交渉 著作権侵害は「非親告罪」で調整(魚拓)」という記事が出たことに対する動き。コミックマーケット準備会は、TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)の「TPP著作権条項に関する緊急声明」にも賛同を表明しています。

なお、thinkTPPIPは3月13日に、平田オリザ氏、赤松健氏、大久保ゆう氏、田村善之氏、中村伊知哉氏、渡辺智暁氏、津田大介氏、福井健策氏が登壇する記者会見を開催します。保護期間延長や非親告罪化そのものには、いろんな立場でいろんな意見があるだろうけど、秘密協議で決めず情報開示して欲しいという声明には賛同しやすいのでは。個人賛同者も募集してますよ。

(ニッキィの大疑問)出版市場、どうなってるの? スマホと競合、販売落ち込み :日本経済新聞 ※2015年3月2日

どうして紙の書籍や雑誌は苦戦が続いているのですか。

 「出版科学研究所の分析によると、14年4月の消費税率引き上げの影響が予想以上に大きく、読者の財布のひもを締めさせたようです

その一方で、OnDeck weekly読者アンケート(2015年3月5日号)によると、消費税増税が出版市場縮小の要因と答えた読者はたったの1.4%だったそうです。まあ、OnDeck weeklyの読者が偏ってるのもあるでしょうけど、消費税は根本的な要因じゃないですよね。こういう時に消費税を要因として1番目に持ち出すのは、軽減税率要望のためでしょ、って思えちゃう。

佐賀県立高授業用パソコン 春休み期間は利用不能 辞書・地図・問題集もアンインストールの理不尽|政治ニュース|HUNTER(ハンター)|ニュースサイト ※2015年3月3日

2月27日付「佐賀県教委 高校授業用パソコンの「教科書」削除を指示 」の続報。どうしてこうなった? 関連記事を見たら叩いてるものばかりだから、あまり鵜呑みにしない方がいいかも……と思ったら、佐賀新聞にも載りました。どうやら教材ソフトは県で全額負担しているから、ということらしい。ライセンス使用期限が1年だからってのはわかるけど、なぜその条件で許容しちゃうのか。そのぶん安いのか。ううむ。

美術出版社が民事再生申し立て 「美術手帖」など出版の老舗 – ITmedia ニュース ※2015年3月5日

出版関係者に衝撃が走っていました。負債額は2014年3月末時点で約19億6300万円。どこかが救済に名乗り出るか?

紙の本を買うと電子版も手に入るサービス、認知度は? – ITmedia eBook USER ※2015年3月5日

認知度が43.2%なのに、一度でも利用したことがある人の割合は9.9%という、まだ伸びしろがたくさんあるね状態。利用経験者の68%が「対象作品だと気づかずに作品を購入していた」と回答しているそうで、要するに店頭でもっとアピールしようよという話ではないかと。

原稿執筆から販売までをサポート、出版社が手掛ける「∞books」 – ITmedia eBook USER ※2015年3月5日

「MyISBN」を基礎にしているということは、オンデマンド印刷+電子書籍のセルフパブリッシングプラットフォームということでしょうか。ISBNを付与できさえすれば出版社なのか? 編集や校正はどうするんだ? 基本が自己出版なら紙で印税率10%は安すぎないか? などなど、いろんな疑問の声が。

BOOK☆WALKER史上最大の10日間、ありが10(とう)days全力感謝祭!! 始まる – ITmedia eBook USER ※2015年3月5日

でっかいセール、開催中。

楽天、出版社向け販売管理ツール「楽天ブックス ダッシュボード」リリース – ITmedia eBook USER ※2015年3月5日

Amazonの「ベンダーセントラル」と同じようなツール。リリースの「販売データ閲覧機能およびダウンロード機能(2015年4月上旬以降、有償)」 が気になりますが、Amazonも「販売分析レポートプレミアム」は有償なんですよね。

Kindleストアでコミックなど2万冊以上の試し読みページが増量 – ITmedia eBook USER ※2015年3月6日

KDPだと試し読み部分は自動的に10%で設定されるんだけど、出版社の場合どうなんだろう? それはともかく、これで「試し読み増量した方が売れる」って結果が出たら、全体に広げるかもしれませんね。

SNSに投稿されたコンテンツを電子書籍に、博報堂アイ・スタジオの新サービス – ITmedia eBook USER ※2015年3月6日

角川アスキー総合研究所の「ePUB Viewer for Twitter」を活用したサービス。EPUB化して、チラシ感覚でタイムライン上で読めるようにする、という感じかな。ちょっと気になるのは、UGC(User Generated Content)の再利用はいいけど、許諾はどうするのかな?

EU司法裁判所「電子書籍は書籍ではない、電子サービスだ」と判断、VAT問題にからみ ※2015年3月6日

フランスとルクセンブルグが、電子書籍を「書籍」として扱いVATの税率を低く設定していることに、EU司法裁判所が「No」を突きつけた形。これ、昨年まで越境取引はサービス事業者の所在地ベースで課税していたのが、今年からユーザーの所在地ベースで課税するようになっっているので、ちょっと利害関係がややこしい。

「活字離れ」論に最終決着?–電子書籍を含めれば「不読率」は激減している – CNET Japan ※2015年3月6日

林智彦氏の「出版復活」シリーズ。読書離れの主役は「若者」ではなく、60代~70代だというデータを示しています。老眼で文字読むの辛くなりますからね。実家の母親に「BookLive! Reader Lideo」をプレゼントしたらめっちゃ本を読むようになっていて、文字が大きくできるという1点だけでもアクセシビリティは飛躍的に高まるんだな、と思いました。

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