毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「日本オーディオブック協議会設立」「ブックサービスが楽天に譲渡」などが話題になっていました。
まんが王:電子化と消費増税直撃でマンガ専門店閉店へ 30年の歴史に幕 – MANTANWEB(まんたんウェブ) ※2015年4月6日
「電子化」を閉店理由に挙げる書店を初めて見た気がします。電子書籍市場が拡大しているのは確かですが、紙のコミック売り上げはそれほど減っていないという認識だったのですが。しかし、自社でも電子書籍サービスやってるんですね。bookend形式って、滅多に見かけないなあ。
楽天、有隣堂がオープン予定の複合型書店で電子書籍などのサービスを提供 – ITmedia eBook USER ※2015年4月6日
有隣堂は以前から書店内Koboストアを展開していましたが、今回のこれはその規模を拡大したバージョンといったところでしょうか。ちなみに小田急百貨店新宿店本館10階は、2月末まで三省堂があった場所です。
スティーブン・キング『シャイニング』など、日本語版9タイトルが初の電子化 – ITmedia eBook USER ※2015年4月6日
「日本語版の」作品が電子化されるのが初、です。スティーブン・キングは「Kindle 2」発売時に新作小説『UR』をKindle独占でリリース(発表会のスペシャルゲストとして登壇している)しますが、2013年の『Joyland』はリアル書店支援のため紙版だけ出すとか、2014年のAmazon vs Hachette紛争に対する意見広告へ名を連ねるとかやってる方です。
ただ、最新作の『Finders Keepers』は普通にKindle版も出ているので、別に仲違いしているわけではないようですね。日本語版も、普通にKindleストアで売ってます。
posted at 2015.4.13
スティーヴン・キング,深町眞理子
文藝春秋
売り上げランキング: 16438
DNPとワンモア、クラウドファンディングやテレビ番組を活用した出版社向けサービス – ITmedia eBook USER ※2015年4月6日
出版特化型クラウドファンディング「ミライブックスファンド(※リンク先は2013年12月の記事)」のリニューアル。サイトの説明には「本・ムックの制作に限らずオリジナルコンテンツ・プロダクトの制作開発や関連イベントの開催など」とあり、出版中心ではあるものの、出版特化型ではなくなるようです。TV番組連動ということで、認知してもらいやすくなっているのは確か、かも。
電子書籍の次の柱に――大手出版社など16社、「日本オーディオブック協議会」設立 – ITmedia eBook USER ※2015年4月6日
ボクも記者会見に行って、現地からレポート記事をアップしました。創立10周年というオトバンクが、大手出版社に混ざって常任理事になっているところが凄い。頑張って欲しいですね。
【新文化】 – ブックオフコーポレーション、新刊複合事業部を新設 ※2015年4月7日
ブックオフが本格的に新刊販売へ参入するようです。ブックオフには、2009年に大日本印刷(当時の筆頭株主)・丸善・講談社・小学館・集英社が出資、2014年にヤフーが100億円出資して筆頭株主になっています。hontoでは古本買取を始めましたし、もしかしたら逆に、丸善ジュンク堂でも古本売買を始めるかもしれませんね。
【新文化】 – 栗田、ブックサービスを楽天に譲渡 ※2015年4月7日
ヤマト運輸が取次の栗田出版販売と始めた(そして2007年に経営権を栗田に譲渡した)書籍の通販サービス会社「ブックサービス」が、楽天に譲渡。確か愛知県の三洋堂書店が「おとりよせ@ブックサービス」を使って、店舗での客注を全部丸投げしていたような。いまでもやってるのかな? しかしこれ、楽天は大阪屋に次いで、そのうち栗田にも出資するのでは。
イーブックイニシアティブジャパンの筆頭株主にクックパッド 業務提携進める – ITmedia eBook USER ※2015年4月7日
おお? というニュース。クックパッドへのコンテンツ提供や、クックパッド傘下のマグネット(Magnet)とのシナジーが期待できるのかな? Magnetはコルクしか使っていないような状態だったので、大きな変化があるかも。会員登録してログインすると「本棚が空です。」という表示しか出ない状態から、変化があるかもしれません。
メディアドゥ、電子図書館事業の本格スタートを発表 – ITmedia eBook USER ※2015年4月8日
「本格スタート」はいいのですが、慶應義塾大学メディアセンターとの実証実験の結果はどうなったんだろう?
【新文化】 – KADOKAWA、トップ人事を発令 ※2015年4月8日
井上伸一郎氏が代表取締役(専務執行役員)に就任。取締役会長(会長執行役員)角川歴彦氏、代表取締役社長(社長執行役員)松原眞樹氏との立ち位置は、括弧内の肩書きで見た方が分かりやすい?
週刊大衆が「中吊り広告をやめた裏事情」を公開 「中吊り広告は、ある意味、言葉狩りとの闘いでした」 – ITmedia eBook USER ※2015年4月8日
言葉狩りとの闘いというか、公衆わいせつ罪との闘いでは。ゴシップ誌の中吊り広告は下品すぎて、目のやりどころに困る感があったからなあ……秋から導入される山手線最新車両は中吊り広告が廃止されデジタルサイネージのみになるという話もあり、まあ、時代の流れなのかなと。
電子書籍読み放題サービス「yomel.jp」でコミックの配信開始、5月には雑誌も – ITmedia eBook USER ※2015年4月8日
いままでずっと文字モノだけを扱っていた「yomel.jp」が、コミック・雑誌の配信も開始。シャープの「EBLIEVA(エブリーバ)」を採用して、アプリをやめブラウザビューワだけになるそうです。それはいいけど、iOSアプリを開くとエラー表示が出るだけでウェブへ誘導されない……。
iOSの規制上リンクが張れないないのは仕方がないかもしれないですが、メッセージくらい出してもいいのでは。
出版社の倒産、14年度は5割増 消費税引き上げが影落とす 帝国データバンク – ITmedia ニュース ※2015年4月8日
こちらも要因を「書籍販売が落ち込む中、昨年4月の消費税増税で消費者心理が冷え込んだ」としていますが、どうなんだろう? 要因の一つではあるんだろうけど、雑誌不況が本質なのでは。
楽天Kobo、「Kobo Glo HD」を発表、日本でも夏に発売予定 – ITmedia eBook USER ※2015年4月8日
高解像度だけど防水機能はなし。安価なモデルという位置づけですね。microSD/SDHCメモリカードスロットが非搭載になったところが、方針の転換を感じさせます。ぬーん。
電子書籍の利用経験が無料/有料ともに伸長――MMD研究所調べ – ITmedia eBook USER ※2015年4月8日
同社が行った昨年3月の調査と比べると、無料:21.8% → 42.8%、有料:14.5% → 25.3% という感じ。とくに無料が大幅に増えているのは、comicoやマンガボックスなどの影響でしょうか? そろそろ電子コミックに関してはキャズムを超えたと言っていいように思います。
京都の夜に「マンガと電子化」を考える:「四畳半マンガ家のためのデジタル戦略講座」リポート – ITmedia eBook USER ※2015年4月9日
トキワ荘プロジェクト主催セミナーの、まつもとあつしさんによるレポート。comicoの中の人と、Kindleダイレクト・パブリッシングの中の人が登壇しています。後半は、プラットフォームによる表現規制にも触れられています。
読書データ解析「ブクログ インサイト」、本作りに活用したい出版社向けに – ITmedia eBook USER ※2015年4月10日
ブクログによる出版社向けの新サービス。結構いい値段。ボクはデータ大好き人間なので見てみたいと思うのですが、一般的な出版社の方はどうなんだろう? もちろん売れ行きデータは見るでしょうけど。
ボイジャー、Romancerに製作代行などの新サービスを追加 – ITmedia eBook USER ※2015年4月10日
ロマンサーがリニューアルして、ニューロマンサーになりました。
posted at 2015.4.13
ウィリアム・ギブスン,黒丸 尚
早川書房
売り上げランキング: 8372
すいません、石を投げないでください。
Neuromancerではなく、New Romancerです。
リニューアル内容として挙げられていませんが、レスポンシブデザインでモバイル対応したのは結構大きいと思います。
あとは、総合電子書店への販売委託(いわゆるディストリビューション)サービスを開始したところ。従来は「販売」ができなかったんですよね。ボイジャーの手数料が入金額の20%ということで、他のディストリビューションサービスより若干作家側に有利な料率が設定されています。
BinB storeは直営なので別として、iBooks Store、Google Play ブックス、Yahoo!ブックストア、紀伊國屋書店ウェブストア、楽天Kobo電子書籍ストア、BookLive!、Reader Store、eBookJapan、honto、達人出版会、YONDEMILL、Kindleストアの12カ所へ配信手配してもらえるというのは良いかも。
BCCKSと比べると、BOOK☆WALKERとブックパスがない、Google Play ブックスとYahoo!ブックストアとhontoと達人出版会とYONDEMILLがある、という感じになっています。
毎分250ページ、東大とDNPが共同開発した非破壊型高速ブックスキャナーとは? – ITmedia eBook USER ※2015年4月9日
非破壊型高速ブックスキャナーがそろそろ実用化されそうです。過去の膨大な書籍群を、はやく電子化して欲しいところ。
電子書店はジャンルごとに使い分け――MMD研究所の調査 – ITmedia eBook USER ※2015年4月10日
「利用している電子書籍ストア、アプリ」の結果で、妙に「その他」が多い(54.3%)と思い、MMD研究所に会員登録してPDFを参照してみました。選択肢にはここに挙がっているストア・アプリしかなく、ドコモdブック、auブックパス、dマガジン、めちゃコミック、コミックシーモア、マンガボックス、GALAPAGOSのように、それなりに会員数が多いはずのストアがみんな「その他」扱いになってしまっているようです。
ちなみに複数回答可なので、足し算して「電子書店のシェアは上位3つで94.7%」みたいなことは言わないように。記事にも「読みたいジャンルの作品の充実度」で複数使い分けしてるって書いてるんだから、ね。
【セキュリティ ニュース】ブックスキャン、電子化書籍の違法公開を監視 – 著者や出版社に情報提供(1ページ目 / 全1ページ):Security NEXT ※2015年4月10日
自炊代行業者のブックスキャンが、無料で提供するというところに価値があるように思います。Myブック変換協議会のシンポジウムで著作権者や出版社が問題視していたことは、ほとんど解消されるのではないでしょうか。ちなみにブックスキャンは2014年、JEPAに加盟しています。あれ、日本蔵書電子化事業者協会はどうなった。