「TRCの視覚障害者向け電子図書館システム」「アメリカのマンガ家事情」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #221(2016年5月16日~22日)

Nexus 7のGALAPAGOS

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「TRCの視覚障害者向け電子図書館システム」「アメリカのマンガ家事情」などが話題になっていました。

ローソン、アマゾンと組み専用書籍 全国6000店で販売:日本経済新聞 ※2016年5月14日

1週前のニュースですが、ピックアップ。一部の報道(Internet Archive)で“Amazon.co.jpのみで販売されていた電子書籍Kindleのヒット作を、紙の書籍としてローソンの6000店舗で販売するという取り組み”や、“Amazon.co.jpには、もともと電子書籍を紙として印刷&製本する「オンデマンド」サービスがあり”という記述があったので驚いたのですが、後で訂正が入ってこの辺りの記述がごっそり消えており、ガックリ。

なお、ラインアップをチェックしてみたら、電子版だけを販売しているのは『スティーブ・ジョブズの言葉』だけ(本稿執筆時点ではPOD版も存在しない)で、あとは普通に単行本が存在していたり、逆に電子書籍を売ってない(POD版だけ)本もありました。ローソンがAmazonと提携したわけではなく、ゴマブックスのAmazon PODによる委託出版サポートサービスの延長上にある仕掛けのようです。

図書館流通センターやボイジャーなど4社、視覚障がい者向け電子図書館システムを開発 -INTERNET Watch ※2016年5月16日

検索用画面(日本ユニシス)とビューワ(ボイジャー)の両方が、PC・タブレットともに音声読み上げに対応。昨年11月の図書館総合展で参考出展だったのが、検証実験の段階に入り、夏から本格サービスインです。公共図書館は障害者差別解消法で合理的配慮が義務付けられているため、この対応によって普及が進みそうです。

EBook2.0 Magazine – 米国E-Book市場の真実は霧の中 ※2016年5月16日

BookExpo Americaでニールセン社が公表したE-Book市場の数字が載っています。自己出版の市場規模がどの程度なのか、推し量るのが難しいという話。ニールセンはユーザーリサーチから推定しているようです。Author EarningsがAmazon以外も調査し始めていますが、どこまで信頼していいものか。確かに「真実は霧の中」ですね。

円城塔、藤野可織、穂村弘…新創刊の文芸誌に注目作家が集結! – 新刊JPニュース ※2016年5月16日

作家の西崎憲さんが編集長。編集・発行人は、福岡の出版社・書肆侃侃房の田島安江さん。年二回刊行で、小説・翻訳は公募もしているそうです(編集後記より)。

ニトリ、紀伊国屋書店・新宿南店跡地に熱視線 | 専門店・ブランド・消費財 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年5月17日

先週のまとめでピックアップした「紀伊国屋新宿南店が事実上の撤退へ」の続報。出店初年度は売上80億円で黒字だったけど、それ以降は毎年巨額の赤字を計上、近年は売上30億円まで縮小していたという衝撃の情報。しかも途中解約できない契約だったため、20年間の契約満了まで待つしかなかったという恐ろしい話。

【やじうまWatch】Amazonでなぜか「小学校学習指導要領解説音楽編」がバカ売れ中、その理由とは – INTERNET Watch ※2016年5月19日

Amazonが4月から全品送料無料サービスをやめ、2000円未満の商品には送料350円がかかるようになったことが話題になっていました(当ブログの記事)。ただし、Amazon.co.jpが発送する書籍は送料無料のままなので、書籍以外の商品と一緒に買えば送料無料できるという裏技が潜んでいたようです。あっという間に在庫がなくなって、いまではもう使えない技っぽいですが。

ドイツ、個人作家の台頭でフリーランス校正・編集者へのニーズが増加、人材養成団体も – hon.jp DayWatch ※2016年5月19日

興味深い動き。結局、ちゃんと「商品」として読者に受け入れてもらうには、ある程度の品質が求められるということなんですよね。

電子書籍アプリのダウンロードは不要に? Google社、ブラウザ上でAndroidアプリを直接起動させる「Android Instant Apps」を発表 – hon.jp DayWatch ※2016年5月20日

Google I/Oカンファレンスで発表された、Androidアプリをブラウザ上で直接起動できるAPI「Android Instant Apps」の提供について。「電子書籍アプリのダウンロードは不要に?」という見出しですが、対応するかどうかはベンダー次第。アプリは起動できても、肝心のコンテンツにはDRMがあるから、対応は難しいのでは。

マンガが米国で全然「クール」になれない事情 | NY流失敗から学ぶ「タフな心」の作り方 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年5月20日

アメリカでマンガ家として活動している方による、日本との文化の違いについての話。いろいろ興味深いです。作家たちが「出版社に頼っても生き残れない」と思うようになったというのは、デジタル化に晒された国すべてに共通する事象なのかも。


お役立ち情報。


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