「ヤフーがeBookJapanを傘下に」「非破壊型自動“自炊”機登場」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #224(2016年6月6日~12日)

iPadのhonto

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「ヤフーがeBookJapanを傘下に」「非破壊型自動“自炊”機登場」などが話題になっていました。

【やじうまWatch】ダイヤモンド社の電子書籍アプリ終了で、他社の単体アプリも閲覧不可が相次ぐ? – INTERNET Watch ※2016年6月7日

先週のニュースまとめでダイヤモンド社のサービスが終了した件はピックアップしていますが、「有斐閣判例六法Reading」など技術供与されていた他社サービスも終了しているとのこと。「もしドラ」のために開発されたオリジナルビューワ「DReader」は、結構いろんなところへ提供されていたようです。アプリ型の電子書籍なのに、アプリを削除すると読めなくなってしまうということは、コンテンツは別途ダウンロードする形式だった? 「iCloud バックアップから復元」には対応していない? よくわかりません。

News Up 「新刊寄贈を」 呼びかけに“待った” | NHKニュースInternet Archive) ※2016年6月7日

5月30日のまとめでピックアップした、高岡市立図書館「寄贈のお願い」問題。予約の多い本を、具体的に名前を挙げて寄贈の呼びかけをしていたところに強い批判があり、呼びかけ方が差しさわりのない感じに変わっています。Internet Archiveを見ると、高岡市立図書館は2013年ごろからずっと「名指し」の寄贈呼びかけをし続けており、ようやく止めた、という感じです。

カンボジアで「Kindle印税生活」を続ける作家に聞く、人生再インストールのススメ | HRナビ by リクルート ※2016年6月7日

カンボジア在住歴20年超、現地から月刊情報誌『シックスサマナ』を発行するクーロン黒沢さんへのインタビュー。定価500円の本を毎月500冊、Kindleストア独占のロイヤリティ70%で売れば「現実的な額」になる、という試算。ニッチな情報は電子出版なら可能性がある、ということです。

デジタルにおける有料コンテンツの「価値」とは?:小学館デジタル担当役員 大西豊 | DIGIDAY[日本版] ※2016年6月8日

出版社にとってデジタル化された書籍は「電子書籍」と呼ぶことが一般的です。しかし、これは出版社側からみた呼び名であって、読者、ユーザー、オーディエンス側にとっては「デジタルコンテンツ」のone of themでしかない。決して特別なコンテンツではない。このギャップこそ、「レガシーメディア側の悲劇の始まり」です。

これを小学館の方が言っているところに「おお!」となりました。作家含め出版関係者には「コンテンツ」という言葉に嫌悪感を示す方も多いようなのですが、ユーザーから見たらまさに one of them なのですよね。

米国の大手出版5社、方針を一転し電子書籍の価格を引き下げ、売上減と市場シェア低下を受け – hon.jp DayWatch ※2016年6月8日

Good E-Reader」によると、ビッグ5が値上げしたら売れなくなったので、こんどは値下げが始まったとのこと。出版社側に販売価格の決定権があるエージェンシーモデルは、さまざまな状況に即応することが難しいことを感じさせます。KADOKAWAなんか直販(BOOK☆WALKER)である程度のシェアを持っているのに、書店とはホールセールモデルで契約しているわけで。餅は餅屋、販売のことは小売店に、ということなのかなと。

北米圏の公共図書館400館以上が地元の電子書籍作家を一斉PRへ、今年から10月8日を「Indie Author Day」記念日に制定 – hon.jp DayWatch ※2016年6月8日

Indie Author Day!! 公共図書館が支援しているというのがいいなあ。うらやましい。ウチのNPO法人でもなにかできないかしら。

書店の来店回数が2倍に–“技あり”電子書籍サービス「Airbook」とは – CNET Japan ※2016年6月9日

TSUTAYA×BookLive!の「Airbook」の実績情報。紙の雑誌・本を購入すると、電子版も貰えるというサービスです。利用ユーザー数は非公開ですが、利用者の来店回数が2倍、購入冊数が1.6倍になっているとのこと。こうやってTSUTAYA BOOKの中の人が出てきて実績をアピールするようになったということは、結構順調なのだなという感じがします。

ヤフー、電子書店「eBookJapan」を20億円で子会社化–4つのシナジーに期待 – CNET Japan ※2016年6月9日

公開買い付け(TOB)で49%取得し子会社化するとのこと。イーブックイニシアティブジャパンの筆頭株主は現在クックパッドですが、所有株式数割合は1月31日時点で9.97%Internet Archive)。個人株主が97.7%を占めているのですね。なるほどTOB。クックパッドの“お家騒動”がなにか影響しているのかと思ったのですが、イーブックイニシアティブジャパンからヤフーに資本業務提携の打診があったのは昨年12月中旬、クックパッドの“お家騒動”勃発は今年の1月なので、直接的には関係なさそう。

ページをめくってタブレットで撮影、カシオ「BOOK TURNER」 – ケータイ Watch ※2016年6月9日

比較的安価な、非破壊型自動“自炊”機が登場。一般には販売されないとのことですが、カシオが公開しているプロモーションムービーを観ると、どう考えても一般向けを志向しているような……?

なお、非破壊・非接触型スキャナ「ScanSnap SV600」が登場したときに、私は「次は安価な自動ページめくり機だな。」とつぶやいたのですが、意外と時間かかった感じ。

Apple社とGoogle社、一定条件下でサブスクリプション課金の料率を30%→15%に引き下げへ – hon.jp DayWatch ※2016年6月9日

iTunesとGoogle Playがほぼ同時に、サブスクリプションモデルを奨励する方向の動きに。出版的には「定期購読」や「読み放題」でのサービス提供が捗りそうです。

KADOKAWAと所沢市、文化施設の整備へ協定締結:朝日新聞デジタル ※2016年6月10日

「COOL JAPAN FOREST構想」は1年前に発表があって検討が進められ、2018年ごろの稼働を目指すとされていました。今回は、正式に協定が締結されたとのこと。「ところざわサクラタウン(仮称)」の建設が「東京五輪までに」と若干延びていますね。なお、工場にはHPのデジタル印刷ソリューションが採用されたそうです。講談社、小学館と同様、自社で小ロット印刷・製本できる体制に。こういう大型設備投資は大手ならでは。


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