毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Kindle最安値保証に公取委立ち入り調査」「楽天マガジン開始」などが話題になっていました。
アマゾンに立ち入り検査 公取委、独禁法違反の疑いで:朝日新聞デジタル ※2016年8月8日
公取委、アマゾン立ち入り 最安値保証を問題視 :日本経済新聞 ※2016年8月10日
当初の報道では何を対象とした立ち入り調査なのか不明だったのですが、後追いでズバリ「電子書籍」だという報道が出ました。「ライバル社に有利な条件を提供する時はアマゾンに通知する」などの条件が問題とされたようです。最恵国待遇条項(most-favored-nation clause : MFN条項)については弁護士ドットコムの解説がわかりやすいです。
雑誌読み放題「楽天マガジン」スタート 月額380円 – ITmedia ニュース ※2016年8月9日
電子書籍読み放題、夏の陣 楽天も参入 :日本経済新聞 ※2016年8月10日
記者発表会では出なかった話として、プラットフォームは Aquafadas DPS だという情報が公式ブログで公開されていました。2014年4月に行われたJEPAの Aquafadas セミナーレポートはこちら。「楽天マガジン」と「dマガジン」と「Kindle Unlimited」のラインアップ比較記事への反響を見るに、やはり週刊文春・週刊新潮・日経系を押さえている「dマガジン」が強いのは確かなのですが、「楽天マガジン」へ乗り換えるという声も結構多く、楽天系の新サービスとしては意外と(失礼)ネット民に好評、という感触です。個人的には「Kindle Unlimited」のような、書籍・マンガも含めたフルラインアップではなかったのが残念でしたが。
電子貸本サービス「Renta!」、プロの作家のコミックを縦スクロール/フルカラー化する「タテコミ」、初年度1000作品 -INTERNET Watch ※2016年8月9日
フィーチャーフォン時代に、コマ割りを分割してコマ送りにする「ケータイコミック」が登場しましたが、これはそのスクロール版。「すべてプロ作家の人気作品」とのことですが、コマを分割されるのは嫌がるマンガ家先生が多そう。4コママンガならいいと思うのですが。
雑誌「AneCan」休刊を発表 – モデルプレス ※2016年8月10日
一世を風靡した「お姉さん系CanCam」が、ついに休刊。ただし、ウェブサイト「AneCan.TV」は引き続き運営とのこと。小学館は電子雑誌ソリューションに「Adobe Digital Publishing Solution」を採用していましたが、電子雑誌はどうなるんだろう? プレスリリースに言及はなし。
NY公立図書館が約30万冊の電子書籍を無料で読めるアプリを導入、市民に開放する ※2016年8月11日
New York Public Library は私立図書館だからこういうことができる、という指摘がありました。この場合の Public は「公共」であって、市が運営している「公立」ではないのですね。もう1点、NYPLがこういう取り組みをするのは、OverDriveのような仲介業者を通すと本の仕入が高くなるので、著者・出版社との直接取引へ移行していきたい意向があるという指摘もありました。
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