電子書籍って「Kindle」以外のプラットフォームで出版する意味あんの?「武器としての書く技術」の売上データから考える – Blogos
“「Kindle」以外のプラットフォームで出版する意味あんの?” という意見に、そろそろちゃんと反論しておきます。全力で釣られたクマー(ズザザザザ)。
まず前提として、ボクはセルフパブリッシングで「これもうきっとGoogle+ガイドブック」という本を3巻まで出しています。これまでの印税額トータルだと、現行モデルのMacBook Airを買ってお釣りが出る程度です。
販売しているのは、Kindleストア、iBooks Store、楽天Kobo、GooglePlayブックス、パブー、BCCKS、Gumroadです。最近までセルフパブリッシングで国内ストアに並べるのは無理だったので、土俵はある程度限定されています。トータルの印税額比率は、以下のような感じです。
2012年5月から2014年3月までの数字です。楽天Koboはパブー経由で販売しており若干数字が出てくるのが遅いため、2月末までの数字となっています。Kindleストアが全体のだいたい3分の2くらいを占めています。
パブーは、他のストアより1年くらい前から販売開始しているため、若干比率が高いです。楽天Koboで販売開始したのは2013年1月、Kindleストアは2013年2月、iBooks Storeは2013年6月、GooglePlayブックスは2013年9月と、若干時期に差があります。GumroadとBCCKSは誤差の範疇と言っていいでしょう。
これが、2013年9月から2014年2月までの数字だと、こんな感じになります。
Kindleストアの比率は、50%弱になっています。トータルの数字と大きく違うのは、昨年4月にKindleストアののコンピュータ・IT部門ベストセラーで1位、2位、3位を獲得したのが主要因です。
ランキング入りすると売れるんですよね。そういうボーナスがない状態でも、総合ストアであれば毎月ちょこちょこ売れていきます。で、実は、iBooks StoreとGooglePlayブックスは、まだ2巻までしか出していません。3巻は、内容を改訂してから出そうと思っていて、まだ手が回っていません。Google I/Oのタイミングで大きく変わることが予想されるので、改訂するとしたらその後ですね。
1年くらい先行で販売していたパブーはさておき、iBooks StoreとGooglePlayブックスは、半年くらい後発で、巻数も少ないにも関わらず、かなり健闘していると言えるのではないでしょうか。Kindleストアでドカンと売れた後に売り始めて、それでもなおこの数字なのです。Google+のガイドブックという極めてマニアックな領域の話ですが、実態としてはこんな感じです。
以前、「自分の頭で考えよう」のちきりん氏がこんなことを言ってました。
電子書籍を出した時に思ったけど、個人で出版するならキンドルだけで十分じゃない? 出版社が紙の本を電子化する際には全方向に気を遣う必要があるだろうけど、個人がそんなことする必要はないし、単純なコストパフォーマンスだけで考えれば、キンドル一本になりそうだけどね。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2013, 12月 23
当時、エアで複数のストアで試してないのに、そんなこと言っちゃう? とツッコミを入れた記憶があります。「コストパフォーマンス」が何を指すのか不明ですが、個人が複数のストアで出すのは、今ではそんなに大変なことではありません。「BCCKS」のストア配信サービスを使えば、Kindleストア、楽天Kobo、iBooks Storeに加え、紀伊國屋書店Kinoppy、BookLive!、Sony Reader Store、auブックパス、BOOK☆WALKER、eBookJapanの、計10ストアで配信可能となりました。
Kindleストアは、独占配信すれば印税率は70%です。それ以外のストアでも配信する場合は、35%になってしまいます。単純計算すれば、同条件で、Kindleストアよりそれ以外のストア合計が上なら、複数ストアで出した方がいいということになるでしょう。
また、ストアによって、付いている客層も異なります。本のジャンルにも依るとは思いますが、Kindleストア以外でも出した方が、より多くの人に届けられる可能性が高くなるのは、恐らく間違いないでしょう。「Kindleストアだけで出していた方が、もっと売れていた」という可能性って、かなり低いように思うのですよね(これは感覚論ですが)。
まあ、有償の電子書籍を購入したことがある人は、まだたかだか15%くらいです。電子書籍市場はまだまだこれからなので、”「Kindle」以外のプラットフォームで出版する意味あんの?” と問うのはまだ早計でしょう。
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この本を読むと、Amazonだけが市場を独占することの危険性がよく分かります。まあ、Amazonに限らずどの企業であっても、市場を独占したら消費者にとっては危ないのですけどね。競争があるからこそ、良いサービスを受けられるのです。
[追記]
続きを書きました。