“読み捨てされる作家”が個人で電子雑誌を創刊したら何が起こったか 漫画家・青木光恵に聞く – ITmedia eBook USER
ITmedia eBook USERに掲載された、漫画家・青木光恵さんと編集者・小形克宏さんとブクログの大西隆幸さんへのインタビュー記事が、大反響です。反響を見ながら感じたことを、つらつらと書き記しておきます。
実は、月刊群雛2014年3月号には小形克宏さんに「『スマホで光恵ちゃん』ができるまで」という寄稿文を頂いていて、ITmedia eBook USERの記事と内容的には結構重複する部分があったりします。タチヨミ部分でギリギリ全文読めるはずですが、買って頂けたら嬉しいです。
『月刊群雛 (GunSu) 2014年 03月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~』
月刊群雛への寄稿文とは異なり、ITmedia eBook USERの記事では終盤で実際の販売部数が明かされています。時期や対象が異なるからでしょう。「売り上げで家賃くらいは出せるけど、食べてはいくにはまだまだ足りない」というのを見て、シビアな現実を感じた方も多いようです。
どちらかというと「出版不況→電子書籍進出でさらに厳しい時代に!」っていう話に感じられてしまう。名を知る漫画家と有能編集者がガッツリ組んでも家賃くらいかーと。 / ““読み捨てされる作家”が個人で電子雑誌を創刊したら何が起こったか …” http://t.co/Nhrj5mxIzw
— しの(ポータブル) (@raf00) 2014, 4月 23
電子書籍なりその他ネット有料コンテンツ販売なりが出てきて、「売る場所」はすごく増えているのだけど、「クリエイターが売り物を通じてファンを増やす」という形式が「売るのとファンを増やすのは別」な方向に進んでいるのは結構シリアスに感じてる。古い形と比べてロスが大きすぎる。
— しの(ポータブル) (@raf00) 2014, 4月 23
「古い形」というのは、いわゆる新聞、雑誌、書籍、ラジオ、テレビなどの、インターネットが登場する前から存在していた旧来のマス向けメディアのことでしょう。インターネットの登場によって、旧来のマス向けメディアは大きく影響を受けました。
恐らく、インターネットによって一番大きな打撃を受けているのが、新聞と雑誌でしょう。新聞・雑誌の売上は、Webメディアに広告費の形で奪われていると言っても過言ではないと思います。速報性(Twitterの後追いになってたり)や情報量(「誌面」という制限がある)で劣るため、じりじりと撤退戦を強いられている状況でしょう。
その一方で、書籍は厳しいジャンルもあります(下記リンク先の記事参照)が、文庫本やコミック単行本などの売上総額はそれほど落ち込んでおらず、発行点数が増えたことによって1点辺りの売上が落ちているというのが現状です。この辺りはインターネットによる影響というよりは、再販価格維持制度と委託販売制度の弊害の方が大きいのではないかと思っています。あまりにも自転車操業的過ぎる。
さて、インターネットは誰でも発信できるメディアなので、膨大な情報が玉石混交で発信されています。だから「埋もれやすい」という問題があります。既にある程度の知名度と集客力を持ったWebメディアならともかく、一般個人が普通にやっていたら旧来のマス向けメディアにも全く歯が立たないでしょう。
ましてや、青木光恵さんはプロの漫画家として長年やってきた方で、知名度もそれなりに高く、ファンもそれなりの数がいる。そういう方が全力でトライしてなお、「売り上げで家賃くらいは出せるけど、食べてはいくにはまだまだ足りない」という程度にしかならないのが現実です。客観的に見て、「古い形と比べてロスが大きすぎる」という印象を持たれてしまうのも無理はないでしょう。
では、埋もれないようにする、ロスをなるべく少なくするにはどうすればいいのか。ボクは「継続すること」と「なるべく多くの人の心に響くよう努力すること」以外に、近道はないと思っています。
対面でも声が大きい人が目立つ(会議なんかで主導権を握ってしまう)わけだけど、オンラインだと「心に響く内容」と「継続して発信し続けること」が「声の大きさ」になるのかな。「心に響く」は、楽しい、悲しい、怒り、美しい、可愛い、などなど、いろんな方向性があるだろうけど。
— 鷹野 凌/月刊群雛4月号発売中 (@ryou_takano) 2014, 4月 23
ただ、問題は……
いまは「心に響かせる」ための方法論が、主に炎上だったりするからやるせない。
— 鷹野 凌/月刊群雛4月号発売中 (@ryou_takano) 2014, 4月 23
「タイトルで釣る」とかね。
— 鷹野 凌/月刊群雛4月号発売中 (@ryou_takano) 2014, 4月 23
往々にしてこうなってしまいがちだという点。
「はちま起稿」的な釣りメディアに眉をひそめる層より、娯楽として楽しんでいる層の方が多数派なんだろうな。ひと昔前で言えば、スポーツ新聞とか写真週刊誌みたいなもんだ。
— 鷹野 凌/月刊群雛4月号発売中 (@ryou_takano) 2014, 4月 24
結局、釣ったり煽ったりしてPV稼いでるWebメディアって、ひと昔前のスポーツ新聞や写真週刊誌がやっていた手法を、そのままWebに持ってきているだけなんですよね。より多くの人に見られる代わりに、信頼をどんどん毀損していったり、ボロクソに貶されたりする。
同じ心に響かせるなら、ボクは「楽しい」「美しい」「可愛い」といった、ポジティブな方向がいいなあ。