「2017年上半期の出版市場(紙+電子)は8310億円」「2016年度の電子出版市場は2278億円」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #282(2017年7月24日~7月30日)

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 先週は「2017年上半期の出版市場(紙+電子)は8310億円」「2016年度の電子出版市場は2278億円」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年7月24日~7月30日分です。

文化庁の移転先 京都府警本部に正式決定 NHKニュース(2017年7月25日)

 遅くとも平成33年(2021年)度中の本格的な移転を目指すとのこと。ほかの府省庁との調整が必要な業務を担う職員を除くとのことですが、著作権課はどうなるんだろう?

拡張E-Bookにキラーコンテンツはあるか EBook2.0 Magazine(2017年7月25日)

 「Kindle in Motion」とは、アニメーションGIFが再生できるKindle版。文章・図画以外のリッチな表現手法を取り入れたコンテンツは、どこまでなら「本」と呼べるのか(映像作品やゲームに近くなる)。リッチな表現には制作費がかさむが、どうやって回収するのか。標準仕様と異なるコンテンツを、あっちこっち向けに作らねばならないのか。など、いろいろ課題が考えられます。『ハリー・ポッター』みたいな大ヒット作なら、遠慮なく投資できるのでしょうけど。可能性は感じるんですけどね。

出版月報 2017年7月号 全国出版協会・出版科学研究所(2017年7月25日)

 2017年上半期の出版物推定販売額が出ました(こちらは1~12月の暦年である点に注意)。「前年同期比5.5%減の7281億円」とありますが、これは紙だけの数字。電子の数字は誌面にだけ載っています。紙+電子は2.8%減の8310億円。電子は21.5%増の1029億円です。今期は紙コミックスが不振で、約11%のマイナスとのこと(実数未確定)。

自分で書いたマンガを電子書籍化する「マンガハックPerry」、400以上のストアへ配信代行も MdN Design Interactive(2017年7月26日)

 無料マンガの投稿サービス「マンガハック」を運営するエコーズ株式会社による新サービス。マンガの電書化と配信代行、原稿校正や表紙デザイン制作・サポート、プロモーション支援も手掛けます。マンガ・イラスト特化型クラウドソーシングサービス「GATErz(ゲーターズ)」とのタッグ。「メディバン」や「マンガonウェブ」の「電書バト」などがコンペとなるでしょう。しかし、講談社BOOK倶楽部の「電子書店一覧」に載っているところでさえ50カ所なのに、「400以上のストア」って。

大阪市立図書館、デジタルアーカイブのオープンデータ利活用事例の紹介ページを公開 カレントアウェアネス・ポータル(2017年7月27日)

 「デジタルアーカイブ オープンデータ画像人気コンテスト」の結果などが紹介されています。「著作権保護期間が満了したコレクション(つまりパブリック・ドメイン)」の画像なのに、クリエイティブ・コモンズ「CC BY」ライセンスという点に違和感を覚えたのですが、「CC BY」の注意書きには「あなたは、資料の中でパブリック・ドメインに属している部分に関して、あるいはあなたの利用が著作権法上の権利制限規定にもとづく場合には、ライセンスの規定に従う必要はありません」とあるので、普通にパブリック・ドメインとして扱えばいいのかな。

2016年度の電子書籍市場規模は前年比24.7%増の1,976億円 電子出版市場は5年後に3,500億円市場へと成長 『電子書籍ビジネス調査報告書2017』7月31日発行 株式会社インプレス(2017年7月28日)

 毎年恒例。2016年度の電子出版市場が2278億円という推計(こちらは4~3月の年度である点に注意)。うちコミックが1617億円、雑誌が302億円、文字モノなどが359億円と、相変わらずコミック市場がでかい。ユーザーの利用実態調査は、NTTコムリサーチのPC調査が廃止され、コロプラスマートアンサーのモバイル調査1本になっています。連続性ががが。

米当局、広告記事の情報開示を勧告 消費者保護へ 日本経済新聞(2017年7月28日)

 いわゆる「アゴ(食事代)」と「アシ(交通費)」と「マクラ(宿泊費)」を、記事に明示せよという話。よい方向性だと思います。そのむかし、とある業界紙の社長が取材先で「こんなところまで呼びつけておいて、ここはアシ代も出さないのかい?」と大声を上げていたのを思い出しました。それ以降、その取材先は記者にタクシーチケットを配るようになったのですが、私は断ってました。

「有害図書指定」された漫画家・筒井哲也さんが描く「表現規制」のディストピア 弁護士ドットコム(2017年7月30日)

 筒井哲也さんの『有害都市』、文化庁メディア芸術祭で漫画部門の優秀賞に選ばれていたんですね。おめでとうございます。長崎県の有害図書に指定されてしまった実体験に基づいた作品です。文化庁、やるじゃない。


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