(※写真:iPadのBookLive!アプリ)
出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。毎週月曜配信。角川グループが激しく動いた1週間でした。
角川「BOOK☆WALKER」と凸版印刷グループの「BookLive!」が本棚連携開始 -INTERNET Watch ※2013年3月25日
去年の夏に発表され、2013年初旬にリリース予定だった本棚連携が、ようやく開始されました。たまに読み違えている人を見かけますが、これはBookLive!で買った本がBOOK☆WALKERでも読めるという一方通行の連携で、残念ながらBOOK☆WALKERで買った本はBookLive!では読めません。ただ、異なる電子書店間での連携が可能になったという意味では、意義深いとおもいます。今後の拡大に期待しましょう。BOOK☆WALKERは版元でもあるので、結果的にどのストアで売れても良いわけなんですよね。もちろん直営で売れるのが一番利益率は高いのですが。
ビューン、月額450円のコミック読み放題サービスを開始 – CNET Japan ※2013年3月25日
「読み放題」モデルとして、当初16作品130冊というのはちょっと少ない。ただ、新聞と雑誌約50の読み放題も付けると月額900円というところがミソですね。今後に期待。
「自炊」代行、著作権使用料徴収で許諾検討 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) ※2013年3月26日
さっそくMyブック変換協議会なんてのが設立されています。会長は三田誠広さん。
書籍にまつわる都市伝説の真相–委託販売、再販制度は日本だけなのか(3) – CNET Japan ※2013年3月26日
先週もピックアップした記事の続編です。今後もしどこかで「日本独自の委託販売・再販制度」という言説を見かけたら、「おいおいちょっと待てよ」と眉に唾して読むべし、ですね。
楽天が岐阜県関商工高校と関市立図書館に電子書籍リーダー“kobo Touch”1250台を寄贈 | カレントアウェアネス・ポータル ※2013年3月26日
楽天は以前から地味にこういう活動を続けてますね。良いことだと思います。
リアル書店で売上1位–TSUTAYAがこだわる書店のあり方とこれから – CNET Japan ※2013年3月27日
面白いのは3ページ目
現在の伸び悩みはただ単に求める人に届いていないだけだと考えています。この状況は、店舗ごとに売れている雑誌だけが自動的に配本され、売れなかった雑誌がだんだん配本されなくなってしまうという仕組みに関係があります。
一度配本されなくなってしまうと、もう二度と入荷されず、店舗スタッフもそれに気づかない。その仕組みを変える取り組みをTSUTAYAでは取次会社とともに2012年から開始しました。
これって、コンビニで雑誌が売れなくなっている要因と、全く同じなのではないかという気がするのですよね。点数が膨大になっているからある意味仕方がないのかもしれませんが、「売れてる雑誌だけを並べる」からコンビニの棚からどんどん多様性が失われている気がするのです。マニアックな雑誌はコンビニじゃ絶対手に入らないですからね。
【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】ASUS「MeMO Pad ME172V」 ~実売17,800円。コミックセットも用意される7型Androidタブレット ※2013年3月27日
山口真弘さんの辛口レビュー。端末単独で考えると「劣化Nexus7」なので、どうしても辛口にならざるを得ないですよね……。
“まとめ”機能を実装したFlipboardのiOS最新版–ユーザーが自由にマガジンを作成可能に – CNET Japan ※2013年3月27日
堀正岳さんがさっそく取り上げてますね。Googleリーダーの代替としては、Flipboard的なレイアウトは情報密度が低すぎるので、ボクにはちょっと考えづらいのですが。「雑誌」の今後のあり方の一つということになっていくのでしょうか。この場合、ビジネスモデルをどうするんだという問題ががががが。
Amazon.co.jp、「近畿大学 教科書ストア」オープン – ITmedia eBook USER ※2013年3月27日
ついに教科書販売までAmazonに!
BookLive!、20人以上のリクエストで紙の書籍を電子化するサービス -INTERNET Watch ※2013年3月28日
「20人以上」と数字を明確にしているところが新しい点。いま何人からリクエストがきているのか、見える化されるともっと面白いと思うんですけどね。他者のリクエストを見て初めて興味を惹かれるなんてこともあるでしょうし。
「TSUTAYA.com×電子貸本Renta!」でTポイント還元を開始~電子書籍がTポイントでレンタル可能に~ | 株式会社パピレス | プレスリリース配信代行『ドリームニュース』 ※2013年3月28日
TSUTAYA.com eBOOKsを運営しつつ、電子貸本Renta!でもTポイント使えるようにしちゃうのですか……なんか、なんだかなあという感じ。シャープ・GALAPAGOSみたいに、早々に見限るようなことがなければいいのですが。
縮小する電子書籍端末市場 消滅まであと何年? :日本経済新聞 ※2013年3月28日
タイトルに「消滅まであと何年?」とありますが、後半まで読むと「今の携帯音楽プレーヤーのような存在になる」と書いてあって、消滅ではなく併存するのではという見解の記事だということがわかります。「端末」を見落として、「電子書籍市場が消えるの?」と慌てる人も。電子書籍専用のタブレットってほとんど存在しませんから、「電子ペーパー端末市場」って書けば誤解されずに済むと思うのですが。
角川グループホールディングス、子会社9社を吸収合併 -INTERNET Watch ※2013年3月28日
タイムラインに衝撃が走ったニュース。ボクがTwitterでフォローしているのは作家や出版系の方々が多いので、何か変化があれば当事者になってしまう可能性が高いのですよね。ただ、ブランドは残す方向なので、例えばラノベレーベルが全部1つになっちゃうといった心配はいらないようです。恐らく経理や総務などの間接部門系をスリムにする方向ではないかと。
本日15時に東証に開示した組織改革の記事を読んで、驚かれた方も多かったことと思います。株式会社角川グループホールディングスは6月22日より株式会社KADOKAWAに社名変更する予定です。詳しくは、こちらの東証開示資料をご覧下さい。kadokawa-hd.co.jp/topics/2013032…
— 井上伸一郎さん (@HP0128) 2013年3月28日
そして同じく6月22日の株主総会の承認をいただいた後、10月1日より子会社9社と合併する予定です。これはデジタル時代に対応すると同時に、IPの海外展開などをスピード感をもって行うための改革です。角川書店やアスキー・メディアワークスなどはブランドカンパニーとして 続>
— 井上伸一郎さん (@HP0128) 2013年3月28日
今後も皆さんとお付き合いしていきます。また角川スニーカー文庫、電撃文庫、MF文庫J、ファンタジア文庫、ファミ通文庫などのライトノベルレーベルや、コミックスの各レーベルなどは今後もしっかり継続いたします。ご安心ください。続>
— 井上伸一郎さん (@HP0128) 2013年3月28日
私自身は4月1日より角川グループホールディンス代表取締役専務に就任する予定です。同時に書籍と映像の事業部門を統括するエンターテインメント・コンテンツクリエイション事業統括本部長に就任します。皆様宜しくお願いいたします。kadokawa-hd.co.jp/topics/2013032…
— 井上伸一郎さん (@HP0128) 2013年3月28日
2013年3月27日、文化庁シンポジウムでCCライセンスについて語りました – クリエイティブ・コモンズ・ジャパン ※2013年3月28日
文化庁主催 第8回コンテンツ流通促進シンポジウム『著作物の公開利用ルールの未来』で、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事の野口祐子さんが使用した資料がアップされています。
ボクのレポートで、野口さんによる「初音ミクを自由に使っていいという表現が気になった」という追記をしておいたのですが、野口さんのTwitterへMentionを飛ばしたらちゃんと答えてくれました。
初音ミクがCCに対応している、という趣旨で発言したつもりでした。誤解があったらすみません。RT @ryou_takano 野口さん(@noguchiyk)が「初音ミクを自由に使っていい」という表現をしたのがとても気にかかってる
— Yuko Noguchi 野口祐子さん (@noguchiyk) 2013年3月28日
@ryou_takano そうですね。「CCの認める範囲で自由に」というフレーズはいつもセットにしないといけませんね。
— Yuko Noguchi 野口祐子さん (@noguchiyk) 2013年3月28日
こうやってちゃんと答えて貰えると、わだかまりがなくていいですね。Creative Commons Japan×Recode TALK SHOW & Recode展レセプションパーティ「IMAGE / LICENSE / ORIGINAL 」での発言者は答えてくれなかったのが非常に残念だったので……。
ちなみに赤松健さんの資料はこちらです。
本日の、第8回コンテンツ流通促進シンポジウム『著作物の公開利用ルールの未来』で公開した、「二次創作における意思表示システムの提唱」PDF版です。 ailove.net/tpp20130327.pdf ブログやニュース記事への転載OKです。
— 赤松健さん (@KenAkamatsu) 2013年3月27日
アマゾン、書籍SNSのGoodreadsを買収 – CNET Japan ※2013年3月29日
これは日本に置き換えてれば、例えば「読書メーター」や「ブクログ」が買収されてしまった、というような話でしょうか。いちおう今後も「インディーズの立場を守る」という方針らしいのですが、こうやって特定プラットフォームとの結びつきが強くなってしまうと、公平なスタンスを保つのは難しくなってしまうのではないかな、という気がします。
hon.jp DayWatch – 紀伊國屋書店が各ECサービスを「紀伊國屋書店ウェブストア」に統一、電子書籍サービス「Kinoppy」も ※2013年3月29日
リニューアルで変わったのは、全体のデザインと、商品個別ページにソーシャルボタンと[著者名をお気に入りに登録する]ボタンが付いたのと、本棚を公開できるようになったのが大きな違いです。細かな使い勝手は変わっておらず、不具合があるのか検索結果が表示されない場合があったりしてぐぬぬ。何より商品個別ページのURLが変わってしまい、リダイレクトもされないというのはちょっと……(;^ω^)