最近 Twitter や Google+ で、こちらのペーパートイを元ネタにした『箱ドット』をアイコンにする方が急増しています。とてもかわいいデザインなので、個人でテンプレートを用意する方が現れ、急速に広まったようです。
なんだこれかわいい! Twitterで増殖中の「箱ドット」アイコンたち
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1202/16/news048.html
実は、このアイコンには著作権侵害の可能性※があります。ただし日本の著作権法は親告罪なので、グラフィグの著作権を持っている cospa 次第ということになります。
※ 大量生産可能な工業製品のデザイン保護は意匠権ですが、工業製品が直ちに著作物性無しとはならないため、このような表現とさせて頂きました。
※ この件に関しては、弁護士の岩原義則さんの24時間!SNS利用の無料法律相談を活用させて頂きました。ありがとうございます。
……という部分を過剰に捉えた第三者が、箱ドットアイコンのテンプレートを無料配布していた方にクレームをつけるという事件が発生していました。テンプレートの作者の方は、「グラフィグさんに確認を取ります」と一旦公開を取りやめました。
ここでの cospa の対応が素晴らしい。
箱ドットに関する見解とかツイートするタイミングな気がするのでここいらで一言ー
— cospaさん (@cospa) 2月 19, 2012
グラフィグの形状デザインをそのまま流用した創作や二次創作は、非商用であれば制限しません(ただし出典は明示してください) これは立体でも平面でも同じです
— cospaさん (@cospa) 2月 19, 2012
「出典を明示」というのは「NC帝國がデザインしたグラフィグを元にしている」と記載する事ですね
— cospaさん (@cospa) 2月 19, 2012
グラフィグ風の画像作品(ドット絵とか)については、厳密に定義のしようもないので、個別に出典の明示とはまでは無くていいですし、呼び名も自由でいいと思います
— cospaさん (@cospa) 2月 19, 2012
ただ、グラフィグを意識して作ったテンプレ画像なんかを配布する場所では、元ネタグラフィグだよと書いてくれると嬉しいです
— cospaさん (@cospa) 2月 19, 2012
つまり、箱ドットアイコンを公認したんです。こういう事態が起きた時の企業の対応としては、かなり良い部類に入ると思います。
初音ミク(クリプトン)や東方プロジェクト(上海アリス幻楽団)がこれほど流行っているのは、同人誌の頒布を含む非営利の二次創作を公認したからだとボクは思っています。二次創作が流行るとオリジナルの認知が上がるから、良いんですよね。
ただこれがもし、お金を貰ってテンプレートを配布するような行為だった場合、恐らく対応は違ったでしょう。企業としては、利益が出るなら自社でやりたいですからね。そういう意味もあって、形状デザインをそのまま流用した創作に関しては非商用で出典を明示という条件を付けたのでしょう。
だから、例えば Gumroad や loftwork などのサービスを利用して二次創作物を販売するに際は、必ず一次著作者の許可を取るようにしましょう。[追記]東方プロジェクトとクリプトン・フューチャー・メディア(ピアプロ)は、どちらもダウンロード販売に関しては『ダメ』という公式見解を出しています。
さてここからは余談です。
箱ドットアイコンのようなトラブルを、事前に避けることは可能でしょうか?
オリジナル作品を公開する際、同時にどこまでの範囲なら二次利用を認めるかを明示しておけば、かなりのトラブルが防げるようになるのではないかとボクは思っています。
例えば、先日紹介させて頂いた loftwork ではクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示を行なっています。ボクが書いているこの文章もいちおう「著作物」なので、ブログのヘッダー部分に表示をすることにしました。ボクが表示しているのはこれです。
表示 – 非営利 – 継承 2.1 日本 (CC BY-NC-SA 2.1)
http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/
ちなみに、コピーライト表記だけでそれ以外に二次利用範囲などに一切言及が無い場合は、原著作者は全ての著作権を保有するし、無断での二次利用・改変・再配布などは禁じているとみなされます。
もちろん個別に許可を取ればいいのですが、もし健全な二次創作文化を奨励するのであれば、はじめから二次利用可とする範囲を明記しておくとよいと思います。著作権者が「ここまでの範囲ならOK」と言っていて、それが誰にでもわかる場所に表示されているのであれば、堂々と二次創作ができますし、著作権者としてはいちいち個別に許可を出す手間も省けられ、更にはオリジナルの認知度を上げることもできます。
ちなみに、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの場合、「二次的著作物の作成はOKだけど、複製・頒布は禁止」といった細かな条件には対応していないので、利用する際には注意が必要です。
[追記]
グラフィグの素体展開図は、NC帝國にてクリエイティブ・コモンズ BY-NC で公開されています。表示 – 非営利 です。