中古車市場の変化について

中古車市場の変化について、他の方の投稿コメント欄(※Facebook)で熱く語ってしまったので、加筆修正して再投稿。

中古車市場は激変した。それは「ネットの力」と「民主化」によるものだ、という意見があった。果たしてそうなのだろうか? 以下に論考する。

業者間取引であるオートオークションが大きく変わったのは、1980年代前半のこと。それまで手ゼリで行われていた競売が、POSシステムの導入で激変する。1会場あたり1日数百台だった流通台数が、1日数千台に変わったのだ。

競売参加者はもちろんすべて業者(最低限古物商免許&推薦者が必要)。流通台数の増加により、オートオークションが中古車の相場の基軸になっていく。人気車、良質車は、オートオークションで高く売れる。それまで指標とされていたオートガイド社の「レッドブック」や、日本自動車査定協会の「シルバーブック」「イエローブック」などは、「こんなのアテにしていたら中古車の商売なんかできんわ!」という評価になる。

■「レッドブック」※損保ではいまだにデファクトスタンダード
http://www.red-book.jp/

そのいっぽう、メーカー系ディーラーの下取価格はまだ低く抑えられていた。その間隙を縫ったのが「ガリバー」や「アップル」などの中古車買取専門店。1990年代後半に、各社全国FC展開。「下取~よりも買取~」といったCMで認知・利用率向上を図っていく。それによって、メーカー系ディーラーへの下取入庫数が減少し、中古車部門が危うくなるのと同時に、新車の販売にも影響が出るようになる。

そこでメーカー中古車部門がテコ入れ、下取価格をオートオークション相場に連動させたり、メーカー系買取専門店「T-UP」などが展開されることになる。これも1990年代後半。

オートオークションや買取専門チェーン、メーカー系の力が強いので、C to Cの仕組みはことごとく潰されてきている。「Yahoo!オークション」が中古車ジャンルを始めるとき、業界関係者はかなり警戒していたが、結局それほど脅威にはなっていない。

■「Yahoo!オークション」中古車:5万2000台
https://auctions.yahoo.co.jp/list1/jp/26360-category.html

■ 中古車情報誌系「グーネット」:40万台超
https://www.goo-net.com/

C to C市場が拡大しない要因として考えられるのは、中古車は基本的に品質が均一ではないから。事故車をキレイに直して「無事故」と偽って売ったり、走行距離メーターを改ざんして売ったりたりなど、悪いことをする業者がゴロゴロしている典型的な「レモン市場」なのだ。そのため、オークションでも下取でも買取でも、専門家による「検査」「査定」をしないと怖くて取引なんかできない。だから検査の専門会社まで存在する。

■ 中古車-車両品質評価(AIS)|株式会社オークネット
https://www.aucnet.co.jp/ais/

■ 日本自動車鑑定協会
https://npo-jaaa.or.jp/

なお、走行距離メーターの改ざんは、オートオークション会場での出品履歴が「走行メーター管理システム」に残され、車台番号をユニークキーとして管理されるようになってからそれなりに減った(初出品時や、オークション出品しない取引などは信頼性に欠けるということ)。いまでは車検証にも記載されるようになったので、かなり抑止されるようになったと言えるだろう。

衛星回線を使ったPOSシステムが登場し、会場まで行かずとも競売に参加できるようになり、それがインターネット経由に変わっていったという歴史があるのは確か。だから「ネットの力」が中古車業界を変えたのは間違いないだろう。ただ、競売に参加できるのはいちおう業者だけに限られており、「民主化」は進んでいない。

だから、 仮にAmazonが本格的に中古車販売を始めたところで、いまの状況をひっくり返すのは容易くないだろう。

(※Facebook Notesのアーカイブからサルベージ)

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