毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「dマガジン会員数200万人突破」「Kindle Paperwhite新モデル」などが話題になっていました。
「dマガジン」会員数が200万人を突破、サービス開始から1年で – ITmedia eBook USER ※2015年6月15日
1年で月額400円の有償会員が200万人というのはお見事。docomoIDがオープン化しているとはいえ99%はドコモ会員らしいのですが、番号ポータビリティ(MNP)で他キャリアへ移行したとしてもそのまま使い続けられるというのは強いと思います。問題は、月間アクティブユーザー(MAU)が2割弱(東洋経済・4月時点)というところでしょうか。
米Amazon、「Kindle Unlimited」の報酬算定方法を大幅変更へ – ITmedia eBook USER ※2015年6月16日
読み放題サービスの、著者への報酬配分ルール変更について。ダウンロード数ではなく読まれた量に比例するのは公平でいいと思うのですが、コミックの場合はどうするんだろう?
【新文化】 – 講談社、KADOKAWAにSSEを販売 ※2015年6月16日
講談社と日本電気(NEC)が共同開発した、XML汎用テキストデータ作成ソフト「スマート・ソース・エディター(SSE)」を、KADOKAWAも利用するようになったというニュース。DTPソフトから脱却し、ローコストで紙と電子を同時刊行できるようにするツールなので、要するにKADOKAWAの電子版がもっと早く出るようになる、はず。2014年9月のSSE発表時記事はこちら。JAGATのレポートはこちら。
page2015のセミナーで開発者の話を聞きましたが、「レイアウトソフト(InDesign)に寄りかかって作ってしまうとそこから離れられなくなる。電子書籍だけではなく、紙の本でも二次利用(絶版の組み直しなど)時に結構負担になる。だから、文字情報を使い回しが効くようにXMLで構造化、Unicodeで保存する」というのが開発コンセプトとのこと。だからSSEに余分なレイアウト機能は持たせていないそうです。「Adobeさんに喧嘩を売るわけじゃないけど」と言ってたのが非常に印象的でした。
iPad Proの解像度は2,732×2,048の263ppiに? : ギズモード・ジャパン ※2015年6月16日
またまた「噂」ですが、最近のAppleは事前情報通りにリリースされることが多いので、要チェック。第3世代iPadの代替でそろそろ大きいのが欲しいんですよね。はよ!(_・ω・)_バァン
KADOKAWAとAmazonの直取引は書籍流通改革の狼煙となるか? | ZUU online ※2015年6月17日
Amazonは以前から「e託販売サービス」をやってるので、KADOKAWAの参加にニュースバリューがあるのは「大手出版社としては初めて」という点をちゃんと指摘している記事を初めて読んだ気がします。「このサービスの登録者は、発足後約8年強の間に3,000社に近づこうとしている」と、具体的な数字が出ているのも興味深い。
“中古”電子書籍流通でオランダのTom Kabinetが新たな動き – ITmedia eBook USER ※2015年6月17日
デジタルデータは劣化しないので「中古」というのは概念上だけの話(※古い版を手に入れたいというニッチなニーズはあるかもしれません)なのですが、ちゃんと著者にもロイヤリティーを払う形になったとのこと。これ、レンタルサービスとあまり差がないような気が。
アマゾンKindle Paperwhiteに画素数2倍の新モデル。1万4280円で上位版Voyageと同じ解像度 – Engadget Japanese ※2015年6月17日
いきなりKindleストアのトップにバナーが出ていてびっくりしました。まだ2013年モデルを在庫処分で安売りしてる最中に新モデル発表しちゃうんですね。解像度以外は2013年モデルとほとんど同じスペックっぽい。写真を見る限り、フラットパネルでもない。
Voyage(23980円)と同じ解像度で14280円(いずれもWi-Fiモデル・キャンペーン情報つき)、プライム会員なら10280円。最廉価モデルも値上げしてるし、間違いなく松竹梅の竹を売りにきてますね。行動経済学で言う「フレーミング効果」で、選択肢が3つあると真ん中を選ぶ人が多くなるのです。
なお、Kindle Paperwhite 2012年モデルは7980円でした。キャンペーン情報なしの2015年モデルが16280円なので、だいたい半額。円安が痛感できますね。
posted at 2015.6.22
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お知らせ
第19回国際電子出版EXPOのボイジャーブース内でやっている無料セミナーに、日本独立作家同盟理事長として藤井太洋さんと一緒に登壇することになりました。7月2日(木)16時からです。国際電子出版EXPOは入場料1200円ですが、受付でFacebook版入場券を画面で見せれば無料で入れます。
なお、国際電子出版EXPOは、来年から東京国際ブックフェアに吸収されるため、今年が最後の開催となるそうです。名実ともに一般向けイベントに変わり、開催日程も9月に変わるとのこと。詳細は東京国際ブックフェア事務局からのお知らせ(PDF)をご参照ください。