毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「NARUTO完結と同時に無料配信」「HachetteとAmazonのバトルが終結」などが話題になっていました。
「NARUTO-ナルト-」アプリスタート マンガ全700話、アニメ全220話を無料配信 | アニメ!アニメ! ※2014年11月10日
無料配信……なのですが、1日1話づつ。続きが気になる人は、有料で買えばいいわけです。巧みだなあ。しかも完結に合わせてこれですから。リアル書店が立ち読み防止でシュリンクし、ユーザーを排除しているのとは好対照。集英社、凄いわ。
【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】Amazon.co.jp「Kindle Voyage」(後編) ~画質比較のほか、ページめくりボタンなどの新機能をチェック – PC Watch ※2014年11月11日
Kindle Paperwhiteはデフォルトの「明朝」より「筑紫明朝」の方が良いのですが、買った人の話では「Voyageの筑紫明朝はもっと良い」らしいです。後編でフォントの違いによる比較もあるかと思っていたのですが、残念。
図書館総合展リポート:障害者差別解消法と公共図書館――電子図書館サービスへの期待とは – ITmedia eBook USER ※2014年11月11日
図書館総合展、興味深いテーマのフォーラムをたくさんやってたけど、まったく時間がなくて1つしか聴講できなかったのが残念。こういうレポートは助かります。
立教大学図書館では、視覚障害を持つ学生に対して本のテキストデータや、OCRにより変換した文字データを提供している。しかし、OCRで得た文字データは文字化けなどの誤変換が多く、2人体制で校正しても、1冊の本につき完成までに半年を要する
それって、OCR使わず1から人力で入力した方が早い気がする……2人体制で別々に入力して、差分を取れば入力ミスが見つかるのです。
EBook2.0 Magazine – Blurbが著者と編集・制作のプロをマッチング ※2014年11月11日
興味深い動き。「著者と編集・制作のプロをマッチング」というタイトルを見たとき、どうせクラウドソーシングのような形だろうなと思ったら、こんな記述が。
Blurbはどちらからも紹介料等を一切受け取らない。つまり、このサービスは、あくまで本業を拡大するためのもので、交渉や契約に介在することはない。
クラウドソーシングはデフレスパイラルが起きているので、中抜きしている業者以外は幸せにならないと思うのですよ。編集長的な仕事で時給1000円~1500円(魚拓)とか。
デジタル版『コミックアース・スター』12月22日に創刊、掲載作品も続々発表 – ITmedia eBook USER ※2014年11月12日
マンガ誌が次々と紙からウェブへ移行しています。単行本が売れればやっていけるので、連載はウェブでも充分(認知がとれる)という状態になってきたということでしょう。
図書館向け電子書籍貸出サービス普及への課題 « マガジン航[kɔː] ※2014年11月13日
自分の記事ですが。ポット出版「プラス電書」と、『電子図書館・電子書籍貸出サービス 調査報告2014』と、図書館総合展に出展していた電子書籍貸出サービス事業者などの、ブース写真。1時間ちょっとしか会場に居なかったのに、よく頑張った、自分。
ドワンゴは大幅増収増益、KADOKAWAは赤字──統合の2社決算 – ITmedia ニュース ※2014年11月13日
明暗が分かれました。記事中にKADOKAWAの減収要因が挙げられていますが……
ここ数年好調だった文庫やコミックスの売り上げ減や返本率の上昇で収益性が低下したほか、雑誌販売・雑誌広告収入の減少。映像関連も配給・パッケージともに点数減や小規模作品の比率が高かったことで減収だった。
決算資料をチェックしたら、最大の減収は「海外関連」の▲3,185、次に「書籍関連」の▲2,486(いずれも百万円単位)なんですが。
ネット・デジタル関連は+3,803(前期比143.5%!)だから、「海外関連」のマイナスがなければ……という感じが。まあ、営業赤字になった原因は売上減だけではないと思いますけど、部門別損益は公表されていないから分からない。うーん。
群馬で「楽天いどうとしょかん」スタート – Kobo Touchの貸出行う | マイナビニュース ※2014年11月13日
福島県、岐阜県、島根県に続く4カ所目。CSR(企業の社会的責任)活動は、継続してこそ意味がありますね。ボクは「楽天いどうとしょかん」を高く評価しています。
AmazonのHachette差別、歩み寄りで終結 – ITmedia ニュース ※2014年11月14日
ようやく収束。「歩み寄り」と言っても、恐らくHachetteが一方的に、じゃないかなあ……。
売れっ子編集者はなぜアマゾンを去ったのか | The New York Times | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト ※2014年11月14日
Amazonの出版部門に暗雲が、という話。
ネット書店としてのアマゾンのせいで業績が悪化した多くの一般書店は、アマゾンが出版した書籍を扱おうとはしない。このことは、アマゾンが作家やエージェントと出版交渉する際の大きな障害となった。
まあ、そりゃそうですよね。なんだかんだで、まだまだ実店舗の影響力は強いということしょう。日本でも売上比率的には7割以上が書店(※ガベージニュース)ですし。
FLASHに迫り来るリストラの嵐 – 日刊サイゾー ※2014年11月14日
前回の回収理由が「ネット上に流出した米女優のハレンチ写真を許可なく8ページにわたって計18枚掲載する予定でいたが、直前に上層部が事の重大さに気付き、急きょ回収することになった。」と、さらりと書いてあります。理由、公開されてたっけ?
北海道)図書館の電子本、オリジナルがずらり 札幌:朝日新聞デジタル ※2014年11月15日
札幌市電子図書館が、朝日新聞でがっつり記事になっています。かなり好評のようです。中心になって準備を進めた中央図書館の淺野隆夫さん、ほんとうにお疲れさまでした。