渋谷・道玄坂で2016年6月25日にオープンした「BOOK LAB TOKYO」で、7月14日に開催されたイベント「書店スタートアップの舞台裏」を、現地から可能な限りレポートします。現地でイベント聞きながら書いているので、文章が荒いのはご了承ください。
この「BOOK LAB TOKYO」は、渋谷のスタートアップ企業である株式会社Labitが運営しています。会社案内によると、Labitという社名は「lab(研究所)」と「bit(デジタルデータの最小単位)」を掛けあわせた造語とのこと。創業は2011年。アプリ開発などを手掛けるIT企業です。
実はここは「コーヒースタンド併設の書店」なのです。どうしてIT企業が書店を? というところが、わたし的には今日のイベントのメインテーマ。
イベント開始直前の様子(↓)
登壇者
詳細はイベント案内を参照ください。
第1部は空間デザイン。
小阿瀬(こあせ)直氏(↑写真左):
小阿瀬直建築設計事務所 SNARK
「BOOK LAB TOKYO」の設計を担当。
石黒氏(下の名前不明・↑写真右):
「BOOK LAB TOKYO」のディレクション、ロゴデザインなどを担当。
今日は急遽登壇することになったそうです。
山口陽平氏(↑写真左):
TRAIL HEADS
「BOOK LAB TOKYO」の空間デザインを担当。
鶴田浩之(モデレーター・↑写真右):
株式会社Labit CEO&Founder
そして「BOOK LAB TOKYO」発起人代表。
鶴田氏のこれまで
長崎県出身。10代からプログラミング。2009年に上京して慶応SFCへ入学。6年半かかって今年卒業。学生時代は世界一斉キャンドルナイト(2009年12月)なんてことをやっていたそうです。
3.11のとき、ハッシュタグ #prayforjapan を一覧で見やすく表示するサイトを栃木の避難所で立ち上げ、のちに講談社から出版。この本を出したことが、書店を立ち上げるきっかけになったのかも、とのこと。8万5000部発行しているそうです。
PRAY FOR JAPAN ‐3.11世界中が祈りはじめた日‐
posted at 2016.7.14
prayforjapan.jp
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「数年前に炎上してたけど、あれは事実無根です」とのこと(アマゾンのレビューなどに何か書かれてるかも? このレポートを書いてる最中は未確認)。「Amazonのマーケットプレイスで、1円とかで売ってるので買ってみてください」と発言、山口氏から「書店なのにいいの?」と突っ込まれ、「ウチはなんでもありなので」と鶴田氏。
なぜ書店を?
この書店立ち上げには、ネットエイジの西川潔氏(エンジェル投資家)が大きく関わっているそうです。若い人に対したくさんの起業支援をしてきたけど、最近若い人の気持ちがわからなくなってきて、鶴田氏に「投資以外で、なにかやろうとしている若い人にできることない?」と相談があったそうです。
相談され、なぜ自分でもそう言い出したかわからないけど、「クリエイターを応援する書店、というのはどうでしょう?」と言ったら、西川氏がそのアイデアに「いいね!」となったのが1年前。
数年後くらいのつもりが……
西川氏からしばらく「書店まだ?」と言われ続けた鶴田氏。知り合いの不動産に、書店になりそうな場所があれば紹介していただけます? と相談したら、すぐ「あるよ!」と。数年後くらいのイメージだったのに、トントン拍子で進んだとのこと。
空中階なので、コンセプトが必要。事業計画を普通に立てたら赤字になってしまう。西川氏から、渋谷の未来のためにと開業資金の半分を出してもらっているそうです(現在は闘病中でイベントには来られなかった)。
「山口さん、本屋さん作ります」
鶴田氏から「本屋さん作ります」と相談された山口氏、最初は「マジかよ」と思ったけど、「お金あるのかも!」とニヤニヤしてしまったとのこと。ちなみに山口氏は『世界の夢の本屋さん』が好きなのだそうです。書棚にも並んでいました。
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書店やるぞ!と言い出した鶴田氏本人は、カフェで働いたこともなければ書店で働いたこともない。まったくの未経験で異業種から書店へ参入というのは初かも、とのこと。
「書く(描く)」専用スペース
カフェの端、柱の裏に↑こんな執筆専用スペースも。
ロゴのコンセプト
キーワードは「作る人を応援」「社会貢献」。鶴田氏の若いパワー。BOOKのBとK。アイコンのボタン。開いた本が2冊並んでいる。人と人が繋がっているイメージ。本屋なんだけど、トークショーやライブもあるので「広がり」。流動的な「流れ」。文字だけだと渋谷の街では弱い。でも奇をてらったモノだと埋もれてしまう。というような考えが、このロゴには盛り込まれているとのこと。
ちなみに非常に短期間でのオーダーだったそうです。
質問してみました
あまり本屋の話にならなかったので、質疑応答で「トランスビュー」とか「ことりつぎ」の話を振った上で「仕入れはどうしていますか?」 と聞いてみました。日販とのこと。あらら普通だなと思ったら、鶴田氏が日販ウェブサイトのメールフォームから「書店をやろうと思っているのですが」と問い合わせをしたとのこと。どこかのツテを頼ったとかじゃないのですね。
第2部 書店ができてからの話
↑左は「私立珈琲小学校」の吉田恒氏。ほんとに小学校の先生もやっている(た?)そうです。↑右は「Chez Mikki」パティシエのミッキーさん。
↑左は木村店長。右は鶴田氏。木村氏は、映画『青春群青色の夏』の劇中歌を提供した過去の持ち主とか。
吉田氏いわく「鶴田氏から話を聞いて、とにかく”本物”を入れようと思った」とのこと。スタッフ全員、吉田氏から研修を受けているそうです。鶴田氏が「コーヒースタンド併設の書店」という説明をメディア向けに繰り返しているのは、どっちも大切だからとのこと。オープンから1カ月で、1000杯以上出ているとか。
普通、飲食店は原価30%。コーヒーは一般に原価率がよくて10%くらい。ところがこの「BOOK LAB TOKYO」は良い豆を使っているので、原価率20〜30%くらいとのことです。丁寧に淹れて大事な時間を過ごすための豆、と吉田氏。
ミッキーさんのケーキやクッキーなども、素材にこだわっているそうです。「オーガニック(有機栽培)」と言ってました。
と、そろそろ MacBook Air のバッテリーが危ないので、レポートを終了します。