毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「光文社・集英社ともにその他事業売上が大幅増」「コミックリュウがKindle Unlimitedの配信作品見直し」などが話題になっていました。
【新文化】 – 光文社、増収減益の決算に ※2016年8月23日
販売減・広告減で、その他大幅増による増収。その他の大幅は「dマガジンや版権収入などが好調だった」ことによるそうです。名指しで好調要因として挙げられるdマガジンすごい。
コミックリュウ、「Kindle Unlimited」における配信作品を見直しへ 「先方より条件面での変更通達が」 – ねとらぼ ※2016年8月24日
徳間書店のコミックリュウが、Amazonから「条件面での変更通達」があったため「Kindle Unlimited」のラインアップを見直し、8月31日で一旦引き上げ9月1日からは1巻だけなど限定的な配信に切り替えるそうです。タレコミによると、どうやら文化通信が報じた初年度特別条件の前倒し終了になっている模様。徳間書店に限った話ではないようです。9月1日からラインアップがどう変わるか、注視しておく必要がありますね。
定額の読み放題、権利者の「稼ぎ所」はどこか | プレタポルテ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年8月25日
読み放題サービスが収益配分する際に、どうやって「利用された」ことを判定しているのか? を西田宗千佳さんが解説。
たとえば、前述のKindle Unlimitedの場合、一般的な出版社から提供される書籍・雑誌は「ダウンロード後、全体の10%以上が読まれたもの」が対象。
「一般的な出版社」という境界のぼかし方がうまい(嘆息)。ちなみに文化通信が報じた初年度特別条件は「サービス開始初年は単品を販売したのと同額を出版社に支払う」であって、この「10%で読まれた」判定は特別条件終了後も継続されるはずです。
これって、いわゆるイーシングルを配信している出版社が収益配分上めちゃくちゃ有利なんですが、他の出版社はこのままでいいんでしょうかね? KDP作品にKENPC(読まれたページ数に比例して配分)が導入された理由が「10%で読まれたという判定は、長編が不利過ぎる」という声に応える形の改善なので、他の出版社が声を挙げればいずれ「一般的な出版社」の作品の「読まれた判定」にも反映されそうな気がします。
米Amazon、途上国を対象に電子書籍端末等を寄贈するプログラム” Kindle Reading Fund”を発表 図書館も寄贈の対象に | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年8月25日
これは素晴らしい社会貢献、と言いたいところなのですが、配布するのがプロプライエタリ(独自仕様)な端末なので、どう考えても将来の顧客を抱え込む手段の一つなのですよね。うーむ、素直に評価しがたい。
米アマゾン、実店舗の書店拡大へ:日本経済新聞 ※2016年8月27日
数年前、話題になった「世の中にあるリアルショップをすべて無くすこと。それも10年以内に」というミッションが本当なら、これもその手段の一つなのでしょうか? 実際のところ、「書店」というより「ショールーム」なのかな、という感じがしますが。
【新文化】 – 集英社、増収増益の決算 ※2016年8月26日
増収増益。とはいえこちらも、雑誌減、書籍大幅減、広告減、その他大幅増という状態。その他に何が含まれているか、この記事からはわかりません。光文社と似たような傾向?
「Weekly 見て歩く者 by 鷹野凌」というGoogleグループを作りました。登録すると、毎週この「出版業界関連の気になるニュースまとめ」がメールで届くようになります。ときどき号外を配信するかも? ブログの更新チェックが面倒な方はぜひ登録してください。無料です。