毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「TPP著作権問題とMANGA議連」「春画掲載週刊誌に警視庁が口頭指導」などが話題になっていました。
出版社以外の法人でもPOD出版可能に、インプレスR&DがPOD出版取次サービスの対象を拡大 -INTERNET Watch ※2015年10月19日
8月に記事を書いたインプレスR&DのPOD出版取次サービス、なんでまたプレスリリース流すんだろう? と思ったら、8月のときは「出版社向けに」だったのが、今回は「出版社以外の法人でもPOD出版可能に」と進化しているのでした。
超ざっくり! TPP著作権問題の現在地点 -INTERNET Watch ※2015年10月19日
福井健策先生によるまとめ。「一部情報の偏り・漏れはご寛容を高飛車に要求させていただきたい」って、笑ってしまいました。アメリカは2016年に大統領選挙がありますが、有力候補が軒並みTPPに反対しているので「米国1国でもTPPに署名できなければ、当然話は振り出しに戻るだろう」というのが結構可能性として高いような気がします。
「緊デジ」問題を読み解く11の疑問(後編)–「黒船病」にかかった電子書籍の識者たち – CNET Japan ※2015年10月20日
前編とセットでどうぞ。Kindleストアの売上について「年間240億~300億円ほどと推定」という数字がががが。どこから出てきたんだろう?
米シンクタンク調査、1年間で米国の読書人口が急下降「紙書籍は69%→63%、電子書籍は28→27%」 ※2015年10月20日
標本数1900だから、標本誤差は±2~3%くらい? 詳細未確認ですが、社会学調査を専門とする民間系の非営利シンクタンクの調査なら、さすがに妙なことはやっていないと思われます。6ポイントの減は、誤差の範疇と言うには大きい。何が起きているんだろう?
【新文化】 – 出版ADR、11月18日から業務開始 ※2015年10月20日
ADRとは裁判外紛争処理のこと。「出版社に隣接権を!」というシンポジウムが開催されていた2012年頃に、出版契約に係わる相談や苦情対応・紛争解決の窓口が必要になるだろうという話が挙がっていたのを思い出しました。
著作権法改正によって2015年から電子書籍の出版権設定契約が可能になりましたが、改正時の付帯決議に「出版ADRの創設」が盛り込まれていた(JPO出版情報登録センターの設立も同様)のですね。この辺りの経緯については、日本出版者協議会の記事が詳しいです。自費出版や法人間の争いは対象外。
本格稼働は11月18日からですが、ウェブサイトなどはまだ存在しない模様。
「新聞・出版物への軽減税率適用を」 文字・活字機構シンポ :日本経済新聞 ※2015年10月20日
「活字文化を守る観点」とか「情報の公平性を保つべき」などと言われちゃうと、「それウェブでいいじゃん」と思ってしまうのですが。
“著作権侵害が非親告罪に“創作活動で意見相次ぐ NHKニュース(Internet Archive) ※2015年10月21日
記事中にある超党派の議員連盟とは「MANGA議連」のことです。文科相・馳浩氏のブログ「はせ日記」10月21日に記述がありました。
BookLiveとTSUTAYAが連携 「漫画無料連載」がTSUTAYAアプリでも配信開始 – ITmedia Mobile ※2015年10月21日
9月末にITmedia eBookUSERが更新終了して、「電子書籍」がITmedia Mobileの中のいちジャンルになってから初めての更新。20日間ニュースなしですか……。
「ヌードグラビア」を併せて掲載すると「わいせつ性増す」? 警視庁が春画掲載の4誌に口頭で「指導」 : J-CASTニュース ※2015年10月20日
【日本の議論】春画はわいせつか? 文春編集長の休養“処分”に波紋 宇多田ヒカルは「当時の日本人を身近に…」と賞賛(1/5ページ) – 産経ニュース ※2015年10月22日
2本まとめてピックアップ。「週刊文春」編集長は社内処分で3カ月休養になったけど、警視庁が指導した4誌に「週刊文春」は含まれていない。口頭指導の件は、Googleニュースで検索する限り全国紙は取り上げていない。つまりどういうことなのこれ。
過去1年間に電子書籍を読んだ人は4人に1人:楽天リサーチ「電子書籍に関する調査」より | カレントアウェアネス・ポータル ※2015年10月22日
あくまで楽天リサーチモニター(リサーチに協力すると楽天ポイントが貰える、というインセンティブで回答する人々)についての話。去年の8月に行った同様の調査では、楽天Koboが利用率1位になるくらいには偏ってます。今年は電子書店別利用率は、公表しなかったのね。
LINEマンガが出版事業に参入 2016年1月に2タイトルのコミックス発売へ – ねとらぼ ※2015年10月23日
LINEマンガもcomicoと同様、自社でレーベルを持つ方向へ進むようです。ウェブ発という意味ではアルファポリスやマンガごっちゃ(マイクロマガジン)などいろいろあるから珍しくはないのですが、LINEみたいに勢いのある会社が参入してくると、やはりインパクトありますね。「スタンプ付きマンガ」なのか「マンガ付きスタンプ」なのか。